劇場公開日 2023年12月8日

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「ここまで、感動して泣かされるとは正直思いませんでした 想像以上でした」あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。 あき240さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0 ここまで、感動して泣かされるとは正直思いませんでした 想像以上でした

2025年8月10日
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鑑賞方法:VOD

あの花が咲く丘で、
君とまた出会えたら。
2023年12月8日公開、松竹

鹿児島県には、知覧特攻平和会館という施設があるそうです
そこは、本作の特攻隊の基地や鶴屋食堂のモデルとなった食堂があったところです
その食堂には特攻隊員の母と慕われた女性もおられたそうです
つまり本作は、その特攻隊基地跡に出来た施設で紹介されていた実話や遺書などから原作者が感じた印象を元に創作された小説が原作だということです

そして実は、同じところをモデルにした映画が他にもあります
それは降旗康男監督の2001年公開の「ホタル」です
日本アカデミー賞で13部門ノミネートされています
主演男優賞に高倉健もノミネートされましたが、「後輩の俳優に道を譲りたい」として辞退した作品です
その作品では、特攻隊員の遺書は検閲で本心が綴られたものではないという故人を冒涜するような立場で作られた卑怯な作品でした
本作ではそうではないという反論のシーンがわざわざありました
他にも、モデルにされた本人が、本作ならツルさんが絶対に言うはずのない監督の思想信条を台詞にして言わせたりして無理やりねじ曲げていました
本作のツルさんの方がモデルとなった方本人にずっと近いと思いました
それ故に自分には高倉健の受賞辞退は彼がその作品について何か思うことがあったのではないかと昔から感じていました

本作を観て、その作品での怒りや鬱憤がようやく晴れました
本作の方がはるかにモデルになった方々に誠実に作られた映画でした

蛇足
終盤に主人公の百合が学校で見学した施設は、茨城県の予科練平和記念館だそうです

そこまで行かなくても、東京九段の靖国神社に遊就館という、いわば戦争博物館的な施設があり、その順路の一番最後に特攻隊についてのコーナーがあります

四方の壁一面に特攻隊員の顔写真が無数に展示されて圧倒されます
またガラスケースなどに彼等の書いた遺書も多数ありました
写真を観てどんな人だったのだろうと思いながらその遺書を読み始めると、本作の百合のように、号泣状態になりました
戦争を賛美するとんでもない施設だと攻撃的に非難する人もいます
しかし、自分には全くそうではなく、本作の放つメッセージと同じように、反戦のための施設だと思いました

80年目の終戦記念日も間近
そぞろ靖国神社を巡っては、総理や閣僚、議員の参拝問題が取り上げられるでしょう
自分はその是非が良くわからなかったので、ひと昔前、現地現物を見て自分の頭で良く考えてみようと思い靖国神社を参拝して遊就館も見学してみたのです
本作に心を震わせられた方に是非一度ご見学なされ、ご自身でどう感じるかお確かめいただけたらと思います

2025年8月15日
ウクライナ戦争の停戦交渉があるそうです
もしそれで終戦なら、今、明日の朝
生死をかけて闘うウクライナの兵士達を思うと胸が張り裂ける思いです
それでもかれらは懸命に戦うのは間違いないことでしょう

あき240
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