インスペクション ここで生きるのレビュー・感想・評価
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今週はLGBTQ関係が多めな週なのかなぁ…。
今年273本目(合計923本目/今月(2023年8月度)12本目)。
(参考)前期214本目(合計865本目/今月(2023年6月度まで))。
…といっても、大阪市では正規の公開日の放映扱いで、私がただ単に1週間遅れだけであった模様です。
ストーリーとしては、いわゆるLGBTQと、日本ではおよそ考えられない軍隊入隊という、ややセンシティブなお話。日本基準でいうと、一番近いのは韓国(現在でも入隊義務はある。朝鮮戦争は「休戦状態」の扱いに過ぎないため。なお、詳細後述)といったところです。
内容として、どうしても実際の出来事をベースにしているため、それを超えることはできないこと、またその前提でレーティングが決まっているため、「多少の強めの描写」もそれ前提であることまで考えると、仕方なしかな、といったところです。
たまたま私が見たのが1週間遅れで、「バービー」がフェミニズム思想ならこっちは「同性愛思想」のお話であり、こうしたお話を2つ以上見ることができた点については良かったかな、と思います。
内容に関しては、映画の趣旨的にどうしてもドキュメンタリータイプの映画で、それ以上にもそれ以下にも描くことができないという事情から、個々淡々と進む点はありますが、仕方なし、という扱いで、フルスコア扱いにしています。
なお、以下については細かい事情ですが、発展的な内容です。
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(減点なし/いわゆる「良心的兵役拒否」について)
この映画(舞台はアメリカ)にせよ、韓国にせよ(ほか、台湾、ドイツ等)、主に男性について入隊義務を定める国はいくつかありますが、「戦争にかかわるのは嫌」という考え方(宗教と結びつくのが通常だが、一般的道徳としてもおこりうる)もあり、それを「良心的兵役拒否」といい、これを認める国(相当するボランティア活動等で代替を認める)と、認めない国とがあります。
この点、映画の論点ではないので一切省略されていますが、国によっては、宗教と結びつく「良心的拒否」(積極的拒否と異なる。日本では戦中に無理やり当日(=検査日)に大量服薬等による兵役逃れが実際に存在した一方、敗戦が濃厚になると、どう考えても無理にでも「ある意味」誰にでも可能な特攻隊なるものまで存在していた等の事情がある)を認める国と認めない国があります。映画の論点ではないため一切省略されていますが、こうした論点が実は発展的事項として存在します。
※ 日本では、戦後では自衛隊ほかは入隊が任意になり(職業の一類型という扱い)、いわゆる「予備」もそもそも強制ではない等、配慮があります(この点、隣国とはいえ、現在でも制度が存続する韓国とは事情がそもそも異なる。日本ではこの論点は事実上存在しない)。
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歪みの中の誠実さ
言葉じゃない優しさ、仕草とは違う優しさ
伝わり辛かったり…少し歪んでたり
そんな中でも 互いを尊重しあえること
愛と呼ぶか、優しさと表現するかは分からない
それでも 温もりの光である事を感じさせてくた
どんなに過酷でも 私も 私を 諦めない
謳歌しよう 自由に縛られた この世界を
強かさ(エール)
いきなり突撃訪問する母親の家。そこで流れる
BGMは牧師の説教。
これで母親がバリバリのクリスチャンで多分
共和党支持者なのが分かります。
そりゃー息子がゲイなんて許せませんよね…絶対。
それでも彼は果敢に母に訴えます。
「母さん僕を理解して。」
そんなん無理に決まってますやん。
この母親の背景は日本じゃ中々理解出来ないん
でしょうね。
お母さんの立場で考えると相当ショックで何故
私の息子が。神様… ですよ。
それでも彼は我が道を行きます。
確かにマイノリティー(敢えてLGBTQとは言わない)
である事がバレてそれなりに苦労もありますが、
ちゃっかり同じ性癖の上官を見つけて楽しんでます。
彼が上官のチャックを下す時の嬉しそうな表情と
きたらそれはもう…
彼に辛く当たる同僚含め他の仲間たちは真面目(?)
に自慰してるというのにね。
私から見ると何やかや結局彼が1番この訓練過程
を充実さしてるんじゃーないのん。と思ってし
まいます。
それはラスト。母親との会食シーンでも顕著に
感じました。
(強かであれ。)
この作品は監督からのマイノリティーに対する
エールと受け止めました。
ちょっとハードルを上げ過ぎたかな。。
知らない世界を観られることは映画の醍醐味の一つです。
アメリカ映画の題材になることが多い「軍への入隊訓練」ですが、それがこの作品の「ほぼ全容」と言えます。知っているつもりのこのシチュエーションは、概ね「他の映画で観てきたもの」なのですが、この作品のそれには「語りたいこと」の表現のために「夢想、妄想」を挟みこんだりする編集が、総じて現実味を感じられない裏腹さとして付きまといます。
そもそも入隊訓練は、その過酷な状況を乗り切る体力、忍耐力、精神力に加えて、軍(今作は海兵隊)に相応しい技術や知識などを身に着ける機会だと思う(想像にすぎません)のですが、ここで描かれるシーンは全て「不条理との闘い」で、終始感情に物を言わせるばかり。何なら彼らに国を任せることに不安を覚えるほどの脆弱な設定で集中できません。
そして、この作品が語ることのキーになるシーンとセリフは既に予告で切り取られており、その予告を観て期待していただけにやや肩透かし感が否めません。とは言え、予告が悪いとも言い難く、、、
また、出演者は割と粒ぞろいながら、その配役としては「如何にも」過ぎ。見た目通りのキャラクター性で面白みに欠けるし、むしろ気のせいか既視感すらあって新鮮さはありません。
長編初作品としては無難な出来と思いますが、実話を「映画」にする難しさかな。悪くはないのですが、私の好みとしてはもう少しシンプルに描いてくれた方が良かったかな、と言うのが正直な感想です。
居場所を見つける強さ。
ゲイ、母親にも存在を認められない中、海軍入隊で自分の存在意義を見つける、ってすごすぎる。死と隣り合わせの世界なのに。アメリカらしすぎる内容かもしれないがいろいろ考えてしまう内容だなー。家族でも海兵隊でも恋人でも、つながりって必要。
ゲイのカムアウトにおいて最大の敵(難関の壁)が、なんと身内しかも...
ゲイのカムアウトにおいて最大の敵(難関の壁)が、なんと身内しかも実の母親だったと言うとんでもない現実に基づく映画。LGBТQにおいてその事実を隠して生きてゆく困難とカムアウトして一部の差別を受け入れるのか、の選択なんてそもそも酷い話です。セクシャリティの多様をただただ認めてくれればいい望むべき社会は米国とてもまだまだで、ましてや日本なんぞ最悪レベル。なにしろ「見るのも嫌だ、隣に住んでいたら嫌だ」とまで首相秘書官が言ってるレベルですから。よりによって海兵隊と言うマッチョ信仰の頂点に挑み、当然に過酷な仕打ちが待ち構えていたけれど、地獄の訓練を耐え抜いた挙句の寛容が待ち受けるとは驚き。ラストの母親との改悟で大団円と思いきやの拒絶で終わるとは。
本作でデビューのエレガンス・ブラットン監督自身のこれまでの実体験をほぼそのまま描いた作品とか。事実、作中で海兵隊の中でも記録映像の方面に進みたいとセリフにでますから。時代は微妙に2005年のイラク戦争真っ只中。以降米国防総省は、兵士が同性愛者であると公言することを禁じた米軍規定を撤廃し、同性愛を隠すことなく入隊できるようになった。これまた本作のセリフに「ゲイを排除してたら隊員が足りない・・」とも告白しているから。よって本作はそれ以前ゆえ、ゲイであることによる差別と虐めが本作の要となる。
米国映画で数多観てきた軍隊での激しい特訓風景、本作はその大半をこれに捧げる構成。冒頭、実話に基づく・・と明記しているように、描写は極力誇張を排している。逆に言えば鬼上官の侮辱の嵐もある意味ありきたりで、班長に任命された白人からの虐めもシャワーシーンと射撃シーンの僅か2回のみ。イスラム教の仲間のエピソードも中途半端。意外と優しい副上官との交流も中途半端。ラストに主人公を擁護する鬼上官シーンもあっさりしたもの。よって監督は母親の理解がない事実のみを最大限に示す意図と思われる。もう少しエピソードを膨らませて欲しかった。
主演のジェレミー・ポープ、どこかで観た覚えが・・そうNetflixの「ハリウッド」に出てましたね。キレイめのアフリカンで、耐えに耐える役が悲壮でもあるものの、妙な色気をうっかり出してしまう辺りの説得力が残念ですね、監督のせいですが。母親役のガブリエル・ユニオンや鬼上官役のボキーム・ウッドバインもベテラン中堅スターで、どこかで・・が観ている最中も頭が廻ってしまう始末。
海兵隊志望に至る理由は、「友達はムショに入るか死んでいる」厳しい現実が総て。ならば監督の体験をベースに、行き場の無い奴等としての軍隊、壮絶虐めと仲間との連携、そしてラストの寛容と拒絶をクライマックスに劇的に描けば面白くなったのに。要は、真面目過ぎました。
「お前は何故ここにいるのか」 「ここしかいる場所がないからだ」
1982年の映画〔愛と青春の旅だち〕は
居場所の無い主人公『ザック・メイヨ(リチャード・ギア)』が
航空士官候補生学校に入学し
パイロットとして生きるよすがを見つけるまでの物語り。
女工の『ポーラ(デブラ・ウィンガー)』との恋愛エピソードも挟まれるが、
それ以上に脳裏に焼き付いているのは
鬼軍曹『フォーリー(ルイス・ゴセット・ジュニア)』の苛烈とも表現したい「しごき」。
言葉で体罰で、生徒たちを心身両面で極限状態にまで追い込む。
勿論、それは生半可の状態で送り出した生徒は、
自身にも仲間にも、ひいては国家にも悪影響を与えるとの背景。
そして、生徒たちは、卒業した途端に軍曹よりも上位となり、
逆に敬礼をし、「サー」と称える皮肉な立場でもある。
もっとも、過酷な訓練が行き過ぎると
{フルメタル・ジャケット(1987年)}のような悲劇を生むのだが。
本作の主人公『エリス・フレンチ(ジェレミー・ポープ)』は
ゲイであることから実母に捨てられ、十年間のホームレス生活を経て
海兵隊に志願入隊する。
寄る辺ない身上は、先作とも類似。
その後の鬼教官の過酷な「しごき」についても。
既視感のあるシーンが
繰り返し眼前に展開される。
ただ、ゲイであることが周囲に知られ
それが為に差別を受け、更には
言われない暴力も振るわれるのは大きな違いで、
イマらしいエピソード。
それでも彼は敢然と立ち向かい
海兵になることを目指す。
作品のの舞台は「イラク戦争」の「大規模戦闘終結宣言」が出された二年後の2005年。
LGBTQ+への理解は今ほど進んでおらず、
アメリカ国内のイスラム教徒への偏見の目も厳しい。
小隊に志願したのは19名も、
最終卒業者は11名、8名は落伍との厳しい訓練。
『エリス』はどちらの側になるのか、と
母親は変わった彼を認めてくれるのか、が
ストーリーの見どころも、
過程で主人公はかけがえのない仲間を得る。
それは互いの背中を預け合えるとの絶対的な信頼。
今後何十年にも渡り続いて行くであろう宝なのに違いない。
冒頭、「実際の出来事にインスパイアされた物語」であることが提示され、
エンドロールでは主人公のモデルとなった人物の青年期の写真と
その母親の写真も提示、更には彼女への献辞も示される。
幾多の歳を越え、母親と息子の確執は氷解したのだろうか。
元々、子供への愛は揺るぎないものだったのだから。
魅力的な登場人物。無駄のない展開。
95分とコンパクトな作品。とにかくテンポが良くストーリーが展開していく。ただでさえ厳しい訓練もマイノリティというだけでよりハードになっていく、その厳しさにも負けない主人公の強い覚悟が伝わってくる。
その他の登場人物も個性豊かで、それぞれの背景を想像していまう。それぞれの登場人物の魅力が短めの上映時間でも物語の深みをもたらしていると感じた。
実話ベースの物語であることがより感情を静かに揺さぶってくる作品であった。
海兵隊はOorah!
ゲイであることで16歳の時に母親から見限られ25歳まで一人で生きて来た青年が、自分の居場所を求めて海兵隊に入隊して巻き起こる話。
ゲイであることは隠して入隊したもののシャワー中にモンモン妄想しちゃってバレてしまい、他の新兵や教官から厳しい仕打ちを受けることになっていくストーリー。
壮絶といえばそうだけれど、他にも厳しい扱いを受ける人物やフラットにみてくれる教官もいて、何だかその程度?という感覚も。
主人公の人間性のお陰で何とか訓練期間も終盤を迎えて、ラスト20分というところで、は!?バカなの???まあ、上手くまとめてはいたけれど。
結局のところ母親は終始クソ過ぎるし、何でそれでも母親にこだわるのかは良く解らないし、そこに感動はできなかったけれど、テンポが良いし展開が上手く流れていてなかなか面白かった。
観たい度◎鑑賞後の満足度◎ LGBTQ+版『愛と青春の旅立ち』かと思ったら違った。「LGBTQ +映画」とすら言えないと思う。普通の若者を殺人マシンに鍛え上げる人々の方が偏見がないという皮肉。
①この映画が、息子がゲイであることを一生受け入れられなかった母親に捧げられていることでもわかる。LGBTQ +(そろそろ止めません?このカテゴライズ。同じ人間なんだから。)の人、それを偏見なく受け入れる人、がいるのを認めるのであれば、それをどうしても受け入れられない(偏見からではなく生理的にとか宗教上の信義からとかで)受け入れられない人がいる、ということも認めなければ本当の意味で平等の意味がないのではないか、とも思わせてくれた(私、何か理解不能なこと言ってます?)。
②教官達が海兵隊志願者を罵詈雑言で迎えるシーン、何かというと腕立て伏せをやらせる訓練シーン、修了式シーンは『愛と青春の旅立ち』をまんま思い出させる(あちらは士官学校だったのでもっと華があったが)。
40年経ってもやってることはあまり変わらないな(当たり前か)と思ったが、教官の罵詈雑言の中に流石に差別的スラングは減っているようだ。
ただ、ここ40年でUSAの軍隊が抱える問題が更に複雑怪奇になっているのは確か。
③自分の半生を描く映画で長編デビューしたという監督の演出はなかなか達者。
それぞれ個性的な訓練生たちを上手く描き分けている。
出演者で印象的なのは主役のジェレミー・ポープは勿論母親役のガブリエル・ユニオン、そして鬼教官役のボキーム・ウッドバイが映画を締めている。
④正確に言うと、教官達はLGBTQ +(自分でまだ使っていますが)含めマイノリティーへの偏見・差別云々よりも国防の為にマンパワーとして必要なのが実情。
USAの保守層はそれが分かっていないのかね。
他国に加え国民の安全保障意識が格段に低い日本ではどうかというと、自衛隊員希望者や警官希望者が不足している。
日本の経済が後退・停滞しているのはマンパワー不足が大きな要因の一つ。
移民の受入れに対して非常に消極的なのにマンパワー不足が更に進む日本。
LGBTQ +の人達は一定数いるのは最早明白な事実なのだから、人権問題としては勿論マンパワー不足の対策としてそういう人達が肩身の狭い思いをせずに自分の能力をフルに発揮できる社会を目指すべきなのに「生産性がない」だの「そういう人たちなどいない」
だの言う政治家等がまだいる日本という国は情けない。
映画の内容とは直接関係ないけれども、こういうことを考えさせる本作ではあった。
ストレートでもゲイでも、ブラックでもホワイトでも一生懸命やることだな
A24って真面目な作品も作るんだなぁと思ったのが観終えたときの感想でした。
詳しくは知らないけどUSマリーンって最強部隊なんでしょうね。理不尽と思える教官のしごきですが、死に直面する戦線へ送り出すことを考えればそぐわない者をふるい落としにかかるのはやむを得ない。
そんな中、フレンチは差別、いじめ、母の無理解など諸々の困難な局面にぶち当たりながらも歯を食いしばり頑張り、無事卒業の時を迎えることができた。
最後には母親も顔を出し、互いにわかり合えることができたかと思わされたが、それは叶わず、だけど頑張りを認めてくれた仲間たちとの絆は固く結ばれた。
認め合うことって素敵だな、手を抜かずに頑張ることは大事なことだなと思わせてくれる作品でした。
それにしても母親へ捧げるとエンドクレジットに出てはいたけれど、家の中はゴミだらけ、タバコの灰は落とし放題、車の中もグチャグチャで、描き出される母親像からは結構闇を抱えた関係性だったのかなと悲しみも残りました。
救いのなさと、リアルさ。
愛していると言われるが
けして受け入れられない、親との関係性。
自らのセクシャリティ。
マイノリティであることの生きづらさ。
それを受け入れて、自ら生きていく場所を探し出し
自分の力で生きていくという覚悟。
過剰すぎることなく描かれて
個人的には、リアルな感じがした。
こういう世界もあると知ることができる作品。
考えるきっかけになれば良い。
それで、終わり?
目も当てられないくらいの悲惨な状況で、想像を絶するような過酷な試練があって、見ているこちらの神経がヒリヒリするような内容かと思っていたら、予想していたよりかなり薄口な内容で肩透かしを食らったような感じ。
なんか物足りないというか、この程度で映画化しちゃうんだ、と思ってしまった自分は、性根が腐ってるのだろうか?
挫けないことの対岸
本作のPR記事ではエリスが性的マイノリティであることが強調されているが、ひとたび海兵隊の訓練施設の中に入った訓練生達は皆、成績や素行はもちろん各自のマイノリティ要素や弱点を日々あら捜しされ、攻撃される。訓練所の慣習を「誰もが味わい得る苦難」として描くことで、本作がエリスだけの物語に留まることなく普遍性のあるドラマになっている点に魅力を感じた。
エリスが自分を認めて欲しいと母に度々縋る姿は、一途で純粋なものだった。子供が親に向ける自然な欲求でもあり、かけがえのない人にこそ自分のありのままを受け入れて欲しいという願いでもあるのだろう。
ただ、母がエリスを認めないのは信仰ゆえで、キリスト教徒としてのルールに従っていることを踏まえると、エリスの要求は彼女の秩序や道徳を破壊することに等しいのではないかと思えた。彼女もまた楽ではない人生を歩んで来たことが窺える人物で、彼女の人生を支えてきた価値観は彼女にとっての尊厳でもあるのではなかろうか。
認めるか認めないかの二択に徹し、互いの主張の背景を理解しようとすることや落としどころを見つける作業が欠けたエリスと母の平行線のやりとりは、痛々しくもあった。
10年間のホームレス生活、訓練施設での生活、海兵隊での任期…と、決して易しくない道を歩んだエリスの「挫けない」タフさを描いた作品ではあるが、その頑なさが少し恐ろしくも感じた。
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