劇場公開日 2023年8月4日

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「最後まで自分でいることを諦めない姿勢が眩しい」インスペクション ここで生きる ともさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5最後まで自分でいることを諦めない姿勢が眩しい

2023年8月4日
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鑑賞方法:映画館

序盤から、フルメタル・ジャケットさながらの訓練シーン。「同性愛者版の微笑みデブか?」なんて思ったりもしたけどそんなことはなかった。笑

同性愛者であることがバレてから、風当たりはさらに強くなり、スクリーンを直視するのが怖くなるくらいの緊張感のあるシーンの数々。
そんななかでも、自分自身や仲間と向き合い、ひたむきに努力をして前を向き続きた主人公の姿が眩しい。ときに涙しながら、くじけながら進んでいく主人公の姿に思いっきり感情移入した。少しずつ、その姿勢が報われていく展開に心が救われた。
最後、母との会話シーンで仲間たちが「俺たちは仲間だ」と言うところ、「諦めずに向き合い続ければ認められる」ということの証明だったと思う。
やり遂げられたからこそ、主人公は母親に対しても「母さんとの関係を諦めない」とブレずに言えたのだと思う。どこまでも、諦めない姿勢、とてもカッコよかった。

母さんとの関係は、私が最初に思い描いていたよりも難しく、複雑な問題だった。
母の、「あなたを愛している。いつまでも愛し続ける。でも、受け入れることはできない。」というセリフ…。
宗教や信条が関わっているので、私にはその心情があまり理解できなかった…。1番の理解者であってほしい親に、そんなふうに勘当されてしまったら、私なら絶対立ち直れない…。

主人公も仲間たちも士官も、訓練所という場所柄言葉は少なくいつでも厳しいけど、そのぶんトイレのシーンやあの優しい士官の廊下でのシーンなどプライベートになったときの人間らしさが際立っていた。

同性愛者の主人公が訓練所で直面する、シャワーやトイレや夜の見回りでのあれそれ…監督の実体験が、リアルに再現されているのだろうなと思って、感慨深かった。
あと、2005年ってつい最近のはずなのに、同性愛者に対する風当たりってここまでのものだったのかと驚き。

1番印象に残ったのは、なぜ海兵隊になりたいのか問われたときの、
「このまま死ねばただの宿無しのゲイだが、制服で死ねば英雄になれる」というセリフ。
苦難の多い環境下においても、誇り高く生きたいという、もがきがひしひしと伝わったシーンだった。

とも