「近づきすぎないロマンス」ママボーイ うぐいすさんの映画レビュー(感想・評価)
近づきすぎないロマンス
過保護な母の下、良い息子として暮らすアラサーのシャオホン、夜の街で生きて身に着けたタフさの端々に孤独や疲労を覗かせるララ。暮らす世界も、親子の形も、全く違う二人が出会って始まる親交の物語である。
頼りなくも優しくもあるシャオホンの独特の存在感と、包容力を見せながらもどこか距離を置くララの陰のある雰囲気により、コメディ味とメロドラマ味の絶妙なバランスが保たれていた。
ララを演じるビビアン・スーさんの日本で見せるキャラクターとは違う一面も新しく、物語を引き締めていた。
憧憬と恋、安らぎと愛の境界を回遊する二人のしっとりとした夜の逢瀬が美しく、惚れた腫れたではなく、心の交わりと成長に焦点を当てた静かなロマンス作品だった。
二組の親子関係について、日本では現実味がゼロというわけでもない設定だが、台湾ではどうとらえられているのか気になった。
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