「きらりと光るミニシアターの超良作。」世界のはしっこ、ちいさな教室 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
きらりと光るミニシアターの超良作。
今年251本目(合計902本目/今月(2023年7月度)37本目)。
(参考)前期214本目(合計865本目/今月(2023年6月度まで))。
今日見た映画では最後になります。
舞台を3か所に移しての、初等教育(小学校相当)に奔走する先生と教育を受ける子供たちのお話です。3か所ありますので、3か所それぞれが1個1個個出ますが(完全独立型ではない)、場所が極端に離れているので、「場所がわかりにくい」という点はなかろうと思います。
これら発展途上国において、日本国憲法や他の先進国がいう憲法が直接・間接的に定める「子どもの学習権」という観念がリアルに出た映画です。映画で取り上げられた国の中ではこれらの観念が怪しい国もありますが(特にバングラデシュ。後述)、日本や各国が一般的に概念として持っているそれを一人の女性が実践していくことの大切さ・厳しさと、日本や先進国では当たり前のように権利のように転がっていて「当たり前のもの」ではないのだ、ということを実感させてくれる良作と言えます。
「子ども学習権」は、それぞれの能力に応じて子供が積極的に大人に対して教育を施すことを要求できる、一種の社会権のような様相を持ちますが(日本では条文上なく、観念的な概念)、この考え方は条文上明記されている、いないにかかわらず、多くの国では当然あるものです。なぜなら、「これから」社会を担っていくのは子供たちであるという当然の理によります。
しかしそれは理解した上でも、まだ経済的理由ほか、宗教的理由ほかでそれが達成されていない国に関しては、ユニセフ他が援助しているのが現状で、映画でも示されている通り、基礎課程であるところの小学校(映画では大半ここ)と、中学(日本のそれと同等と考えていいのかな?)といった「初等教育の大切さ」を説く観点では重要だし、日本含め先進国というのは、発展途上国に対して金銭の多寡はあっても経済援助はしていると思いますが、こうした「意義のある趣旨に対して」行っていただければ、といったところです。
なお、一部、フェミニズム思想に関することを求められるところがありますが(バングラデシュ)、ここは一般的なフェミニズム思想の立場に立つものとします。その観点でいえば、男女で教育を受ける権利に差や度合いが生じるというのは奇妙な状態であり(ただ、この部分も後述)、こうした点についてフェミニズム思想に立って、実は「フェミニズム思想についても触れている映画である」という点については高く評価しました。
採点に関しては以下が気になったところ、どう解釈しても大きな解釈の差につながるものではないので、0.2の扱いでフルスコア切り上げにしています。
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(減点0.2/バングラデシュパートでの「児童婚」が「懲役2年」等という部分)
・ この慣習自体はバングラデシュに残っており、法律の取締りと実際の取締りが今でも乖離されているといわれます。そしてその性質上、発展途上国ではまだまだ「男性が女性を一方的に選んでお金で買う」といった一昔前かふた昔前かというようなことを述べている通り、男女同権思想について不十分な点があります(ただ、国の国民の思想としてそれが「当たり前」になっていると思われるため、個人をとりたてて責めることはできない)。
ただ、その「児童婚」が(多くの場合、被害者は女児になる)「懲役2年になるから、応じてはいけない」という説明のところ、日本のような先進国の考え方からすると、児童自体に懲役2年を課すということはまずもって考えられず(何らの意味もない)、いわゆる「購入行為」であるところ「相手側」(多くの場合、男性)「のみ」が罰せられるのではなかろうか、と思えるのですが、この部分の説明がまるでないので(あるいは、女児も罰せられるの?)、やや配慮が不足しているかな、と思いました。
※ 私もここはかなり気になった調べたのですが、「誰に対して」罰則が科されるかについては何も書いていない状況です。
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