「ドキュメンタリーじゃないんだから(加筆修正しました)」アスファルト・シティ かばこさんの映画レビュー(感想・評価)
ドキュメンタリーじゃないんだから(加筆修正しました)
ニューヨーク・ハーレムでEMSをするというのは、命を救う使命の他に、心身を削る戦いを強いられる。貧困層が集中しているので、ドラッグに宗教、精神障害、孤独死、なんでもありのカオス状態、呼ばれた先はヤバい人だらけで救いに来たのに罵詈雑言浴びせられ危険な目に遭わされ、血や汚物にまみれ虫だの悪臭だのどろどろの地獄のような場所での救助活動で、しかもちょっとした判断ミスでも上に報告されて懲罰の対象になる、質の悪い同僚に執拗に絡まれたりもする。過酷すぎて精神をやられる。これが昼夜問わず24時間続くのだ。この職場で働く人々の「事情」も垣間見せながら。
それを描きたかった意図は分かるが、一度の出動の状況を場面カットや端折ることなしにまるっと見せて、それをいくつもいくつも延々2時間半やるのはいかがなものか。ドキュメンタリーではなく映画なんだから。
起きていることはひとつひとつショッキングだがドキュメンタリー風に淡々と状況を追っているのでメリハリがなく、起承転結を感じないのでメインのエピソードであるラットの事件の、神でもない身で命の選択をしたのかしなかったのかとその顛末も、EMSで起きる情景の一つとして映るだけでさほどのインパクトを感じない。凄惨な場面を立て続けに見せられて感覚が鈍磨したのかも。
むしろ、「ニューヨーク・ハーレムEMS24時」的なドキュメンタリー見たほうが、クロスの延々長い内面描写も延々長い彼女とのエッチシーンもないから、だいぶすっきり見られると思う。
エピソードの数は半分で良いし、クロスの内面描写も半分の時間で良い。毎回同じようなんだし。彼女との交流も半分の時間かなんなら半分くらいは端折ったら良かった。
この監督の味なんだろうが、ヨーロッパ的と言うか、ひとつひとつが丁寧すぎ、長すぎて間延びしているように感じて、私には合わないと思いました。
ところで、マイク・タイソンってクレジットにありましたが、何を担当したんでしょうか、あのタイソンとは同姓同名の別人?
ご返信ありがとうございます。映画として作るには観客がどう感じるかも大事な要素ですもんね。しかもとてもシリアスな内容なだけに。この監督の作品を次回観るとしたら、少し身構えてしまいそうです😅
中東系によくある、現実のあるあるをずっと見せながらオチがなく教訓めいたものを示す感じのスタイル!? でしょうか?
4月1日ってなんでしょう?誕生日は9月9日ですが……