劇場公開日 2023年8月18日

  • 予告編を見る

「四季折々の豆腐屋の話ではなかった」高野豆腐店の春 talkieさんの映画レビュー(感想・評価)

4.0四季折々の豆腐屋の話ではなかった

2024年12月23日
Androidアプリから投稿
鑑賞方法:DVD/BD

実の親子てはないけれども、実の親子か、それ以上の親子のような関係を見事に画き切ったという点では、別作品(前作)『しあわせのかおり 幸福的馨香』と少しの遜色もない一本でした。本作は。

本作の題名からは「四季おりおりのお豆腐屋さんのお仕事映画」みたいな印象を受けていたのですけれども。

しかし、お豆腐屋さんのお仕事映画という線でもなく、良い意味で、大いに期待を裏切られて、下町のお豆腐屋さんにまつわる温かなヒューマンドラマの(というほど重たいものでもなく、さりとてヒューマンコメディというほど軽いものでもない)一本でした。

秀作としての評価が惜しくない一本だともいえると、評論子は思います。

いかにも『しあわせのかおり 幸福的馨香』をものした三浦光尋監督らしい作品だったとも思いました。

(追記)
<映画のことば>
ありゃあ、まあ、本当に不幸な出来事じゃったけど。
じゃからって、ねぇ。
不幸せになっちゃあいかんですよ。
生き抜いて「ああ、いい人生じゃった」と、笑って振り返れるよう、幸せにならんとじゃあ。

親子げんかをして、春に家出されてしまったことを、常連客にも言えなかった辰雄でしたけれども。

しかし、ふみえには本当のことを打ち明けたのですね。

もともとは、病院の待合室で落とした手袋を拾ってもらっただけの関係。

「合縁奇縁」という言葉もありますけれども。
そういう人間関係を築けることは素晴らしいことでもありますし、人との縁の「妙」というものを、改めて感じるようにも思われました。
評論子には。

(追記)
自分の他は娘がひとりというときに、自分の予後が知れたら、世の父親のおおかたは、は同じことをするんじゃあないでしょうか。
「思い残すこと」は、そのことを措いて他には考えられないでしょうから。
ひょっとすると、評論子が密かにリサーチしている「良いお父さんが登場する映画 ザ・ベスト」に、今作で新たな一本が加わったのかも知れません。
本作を観終わって。

(追記)
メインテーマではないのですけれども。
本作にも被爆の影が見え隠れしています。
令和6年の今、戦後80年近くの歳月が経過しても、今なお、広島は「あの日」を忘れていない(「忘れられていない」あるいは「忘れることができない」と言い直すべきでしょうか)

決して原爆ドームだけではなく、思わぬところに「ヒロシマ」が伏在していることにも思いが至りました。

talkie
トミーさんのコメント
2024年12月23日

共感ありがとうございます。
藤さんと言えば、コリーダ!つやつや・・のイメージでしたが、イイ感じに脂が抜けて独特の台詞の間がほのぼのする役者になりました。しかし真顔になって一気に台詞を言うと、なんとも言えない迫力が出ますね。麻生さんとはじんわり化学反応が出ていると思った作品でした。

トミー