「とても面白い」ネクスト・ゴール・ウィンズ 吉泉知彦さんの映画レビュー(感想・評価)
とても面白い
今週は必見映画が渋滞していてそんな時は2周目から極端に上映回数が減りそうなものから見なければならない。サモアのサッカー映画など売り要素が弱すぎるのではないだろうか。マイケル・ファスベンダーにそれほど引きがあるとも思えない。そんな理由で真っ先に見ると、ゆるいながらもとても面白い王道のスポーツ映画だ。
トンガと公式戦初勝利を掛けて戦うが、トンガも相当弱いはずだ。オーストラリアは確かに強くて日本も勝ったり負けたりだ。Jリーグが始まってワールドカップに出るが1勝どころか1ゴールもとれなくて本当にサモアのような気持だった記憶がある。予選ではなく本戦なのだけど、ワールドカップではこれから先未来までずっと0ゴールなのではないかと思っていた。なのでゴン中山が予選で初のゴールを決めた時の歓喜が忘れられない。
ドラマとしてはトンガとサモアどっちがよりヘボかという、よりヘボなチームが負けると言う少年野球の試合のような見せ方ではなく、あくまで強い方が勝つという試合シーンが熱い。選手の体形がラグビー選手のようで90分間走り続けるのはつらそうだ。
娘に電話してやれよと思っていたら、すごく悲しい留守電だったことが分かる。あまりに悲しすぎてそれまでの態度がひどかったけど、むしろよく頑張っていたものだ。サモアのようなゆるい環境と感覚で暮らせたら、若いころは刺激が足りないかもしれないが、年寄りには癒しだ。『ベスト・キッド』がやたらと引用されている。監督の趣味かな。
難を言えば、『がんばれベアーズ』もそうなのだけど弱小チームに有力選手が突然現れて強くなる展開は冷める。あのヘボキーパーで大丈夫かよと思っていたら元の名選手が現れる。その彼自身、不名誉な過去を背負っていてそれなりのドラマがあり、いいけど、あのどん臭いキーパーが活躍する姿が見たい。