「今さらアベノマスクをネタにされても」愛にイナズマ ジョンスペさんの映画レビュー(感想・評価)
今さらアベノマスクをネタにされても
前作から2週間で公開された石井裕也監督・脚本の新作なのだが、語りたい・訴えたいものがいろいろあるのか知らんが、それらを整理できてないまま出されちゃった印象で、練られた脚本とは到底思えない。
アベノマスクやら給付金やらコロナ禍での社会派風のネタはホントにただのネタでしかなく、1500万円繋がりもぐだぐだ会話もコメディとして一切笑えない。池松君の恐竜好き、若葉竜也のカトリック入信、松岡茉優の赤へのこだわりなどのキャラ設定も意味不明。父・佐藤浩市の取ってつけたような過去バナには1ミリも共感できないし、兄妹たちは消えた母親が心の傷になっている訳でもないし、これ、どこが家族の物語なの?
うんざりするのは、自殺や死の話が無駄にいくつも出てくること。また、振り込め詐欺グループが許せないからと殴り込みに戻るとか、なにかってーとビールで乾杯するとか、今どきどういうセンスなのか。時折挿入されるスタンダードサイズのカメラの撮影画面も意味や効果がまるでわからないし…。
松岡が劇中で使いたいというエピソードを、理由や意味がないと三浦貴大が批判すると、松岡はこれは自分の作品なんだからそれでも入れたいと言うんだけど、これって本作への監督自らのエクスキューズなのかな? 前作・月で少しはがんばってると思えた石井監督だが、茜色やアジアの天使の印象同様、やっぱ自分は楽しめない作風の人だと再認識してしまった。
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