「そんな酷い話があっていいんですか…!?」ハント TMさんの映画レビュー(感想・評価)
そんな酷い話があっていいんですか…!?
最後に残るものを、漢字一文字で表現するなら『哀』。韓国映画独特のあの感じを、今作も上映後に味わいます。
スパイ映画とありますが、どちらかというとリアル寄りアクションぽさを感じました。
好き嫌いは分かれそうで、万人受けはしないですが、このジャンルとしては娯楽作要素多め。
ネタバレ事項についてはレビューの終盤に記載。
情報部内に入り込んだ敵のスパイは誰だ…!?という定番な序盤から、まさかそうなる!?な終盤へ繋げる手腕は見事。
タイトルの「ハント」が反転する展開には唸らされました。
雑じゃない?と思うところは、無きにしもあらず。
★ひとつ減の理由は、所々の若干のチープさ。特に、日本語話者からすると「この日本語で日本人を名乗るのは無理がある」と感じるシーンも。ご愛嬌。
ただ、作品全体としてみるとあまり大きな欠点には感じません。
何千発バラ撒いたよ?という空砲の量で、観客の些細な文句はぶっ飛ばしていきます。
スパイものといっても、「007」シリーズや、「ミッション・インポッシブル」系を期待したら怪我するかも。かといってネットフリックスのスパイものドキュメンタリーほど地味ではなく。
また、作品内の前後で若干のジャンルの変化があるので、そこが気になる人はいると思います。
また、観客側の、「どういう作品を見たいのか」という、期待のもって行き方が難しいなと思います。
韓国ミリタリー系だと、「鋼鉄の雨」「シュリ」が好きな人にはおすすめできるかな?
ガンアクションはテンポよく、また飽きさせない工夫がされていました。
俳優さんが爆発の埃で真っ白になるシーンもあったりで、さすが徴兵の国だな…という印象。
主要キャストが救われない終わり方は、肯定的に評価。(なるようにしなならない、というリアリティ基準を明示されているので)
惨事の歴史をバックグラウンドに、現実と地続きの世界を想像しているので、あまり拒絶感はありませんでした。
拷問(尋問)のシーンの酷さ、赤裸々さには監督の覚悟を感じました。それに比べると北朝鮮側の「ふわっと感」はやや否めないかな?
全体としては高評価。