「【”光州事件と、平和革命。”1983年、韓国安全企画部の海外次長と国内次長は夫々の思惑の元、”北の密偵”を探り始める。今作は”祖国”を愛するが故の二人の次長の壮絶な対決を描く哀切なる作品である。】」ハント NOBUさんの映画レビュー(感想・評価)
【”光州事件と、平和革命。”1983年、韓国安全企画部の海外次長と国内次長は夫々の思惑の元、”北の密偵”を探り始める。今作は”祖国”を愛するが故の二人の次長の壮絶な対決を描く哀切なる作品である。】
1.安全企画部、パク海外次長(イ・ジュンジェ)
・実は北朝鮮の凄腕諜報員。南北統一を平和的に行う”平和革命”を画策する男。
部下だった北の男の娘の”面倒”を見つつ、その娘も北の工作員なのである。
2.安全企画部、キム国内次長(チョン・ウソン)
・安全企画部に異動になる前の1980年に起こった光州事件で、民主化を求める若者達が軍に殺害される様を目の当たりにし、深く心に傷を負い、首から銀のロザリオの如く銀の首飾りを贖罪の如く掛けている。
■今作は、背景は違うが、二人の次長が頭脳戦、激烈な銃撃戦、諜報戦を仕掛ける中、劇中では実名は明かされないが、光州事件を引き起こした全斗煥大統領を暗殺すべく対峙する姿と、最後に心を交わす姿を描いている。
◆感想
・序盤から脳内フル回転で観た作品である。光州事件の概容は映画化された際に把握していたが、登場人物が錯綜し、且つ諜報活動も描かれているので、非常に疲れた。
が、その内容の重厚さ、銃撃戦の苛烈さには流石だな、と魅入られる。
・途中から、パク海外次長が全斗煥を暗殺し、”平和革命”を達成しようとする思いと、それに対し”北”の武闘派との確執も描かれている。
・キムが2010年、光州に派遣された際に目の当たりにした、愛する自国の軍隊が民主化を求め、デモを起こす若者達を惨殺する様。
ー 彼が再後半、全斗煥の乗った防弾車に対し、怒りの銃撃を何度も何度も加える様。そして彼は銃弾を胸に多数浴び、血だらけになりながら”パク・ピョンホ!パク・ピョンホ!”と懸命に止血するパク海外次長の名を”俺の代わりに、若き若者を虐殺した愚かしき大統領を殺してくれ!”と伝えるように叫ぶシーンは沁みた。-
・パク海外次長はその地位を保ち、キム国内次長の妻が逮捕される姿を見て”釈放しろ!”と指示を出し、”これを渡してくれ”と言って差し出す茶封筒。妻がその中を見るとそこには夫が首から掛けていた銀の首飾りが・・。
ー だが、彼も匿っていた北の男の娘に会いに行った際に、北の殺し屋達に銃撃される。北の娘に”新しい道を歩め!”と言って渡した新しいパスポートが哀しい。ー
<今作は、重くて、キツイ作品である。
が韓国映画界の且つての大統領の愚かしき行為や、今現在でも喫緊の課題である南北問題を主軸のテーマにしながら、見応えあるエンタメ作品として作り上げる底力を感じた作品でもある。>
キムが首から提げていた“銀の首飾り”は米軍始め各国の所属軍人が身に付けているドッグタグ(認識証)ですね。
所属中に本人が死亡した際は遺体の足の親指に掛けられます。
本日予定の5本観終わってBARで飲んでます。
面白かったけれど疲れる映画でしたよねー…韓国の政治背景知らないとフィクションとはいえ訳わからなそうな感じでしたし。