「思春期ドキュメンタリー風かな?」ファルコン・レイク ネコと映画と人生とさんの映画レビュー(感想・評価)
思春期ドキュメンタリー風かな?
【ストーリー(脚本) & 演出】
14歳の男子バスティアンと16歳の女子クロエの『ひと夏だけ』の交流を描いたストーリー。 バスティアンの視点で物語が進行します。
バスティアンは 気になる[年上の女の子]に付いて行こうと背伸びをして、自分よりも年上の男女の世界に飛び込んでいきます。 またクロエも バスティアンに合わせようとはせず、逆にバスティアンを自分達の世界に誘おうとします。
リアルに《思春期の男子と女子を描いた作品》ではあったのですが、リアルであるが故に「バカンスで出会ったバスティアンとクロエが過ごす日々を ただ映し出しているだけ」で「ストーリーは有って無い様に感じる」方も居るかも知れません。 フィクションの世界で撮影された《思春期ドキュメンタリー風》な作品なのかなぁ と。
「制作者が表現したいモノを キチンと表現出来ている」と言う意味では、良い脚本&良い演出だとは思いますが、個人的には「ちょっと暗い話だな」と感じましたし、結末も「あまり好きな感じではなかった」ので…
脚本評価 ★★★☆☆
演出評価 ★★★★★
【キャスティング(配役) & 演技】
バスティアンを演じていたジョゼフ•アンジェル君の演技は (字幕で観てるけど)言葉が分からなくても伝わる素晴らしい演技だったと思います。 14歳の思春期の少年の『純粋さ』『年上への憧れ』『女子に対する気恥ずかしさ』『年下ゆえに感じる疎外感』等を 《表情や目線》或いは《立ち居振る舞い》で余す事なく表現し切っていたかと思います。
またクロエ役のサラ•モンプチさんや バスティアンの両親やクロエの母親ら周囲の大人達の俳優さんも良かったかと。個人的にはバスティアンの弟[ティティ役のトマ•ラペリエール君]が可愛らしくて好きでした。
クロエの友人や元カレ その他の若者の「少し感じが悪いけど 悪いヤツらじゃない」演技も良かったかなぁ と思いましたので…
配役評価 ★★★★★
演技評価 ★★★★★
【映像 & 音楽】
映像的には、鑑賞中「80〜90年代くらいの映画を観ているような気分だな」「何らかのフィルターでも付けて撮影したのかな?」と思っていたら、普通に[16ミリフィルム]で撮影された作品だった様ですね。 デジタルのクリアな映像も良いけど、フィルム撮影の映像も個人的には嫌いじゃないです。
また『ロケーション』や『カメラワーク』も ストーリーや演出に合った感じで 違和感を感じる事なく鑑賞出来ました。
音楽•音響効果に関して言うと「BGMは少なめでした」が、その分『足音』『水の音』『風の音』『虫の鳴き声』『雷鳴』『雨音』等の《自然の音》が 強調された感じの音響効果が施されていた様に感じました。
1回しか鑑賞していないので 確信は出来ていないのですが、もしかしたら[数少ないBGMが使用されていた場面]は、バスティアンの感情が動くシーンと関連付けられていたかも知れないのですが、2回目を観るつもりはないので そこら辺の考察は「これから鑑賞される方」にお任せします。
映像評価 ★★★★☆
音楽評価 ★★★☆☆
【総括評価】
安易に「お互いの事を 急速に理解する」様な ご都合主義の展開を見せる事も無く、「距離が縮まりそうで縮まらない」リアルな《思春期あるある》が盛り沢山の作品でした。 ストーリーの内容的に「刺激的な展開を求める方」には物足りない 少々退屈な作品かも知れません。
…が そもそも上映館数がそれ程多くなさそうだし《こういう作品を観に行く人が観に行く》的な作品な気もするので 要らぬお世話でしょうかね。
鑑賞直後の感想としては、事前に思ったよりも《「心に残る」感じがしない》し《「切なさ」よりも「思春期の残酷さ」を感じた》作品でした。
【備考】
エンドロール後に特にシーンはありませんので、トイレを我慢している様なら「エンドロール突入後 即離席」しても問題はありません。
あとクロエの部屋の壁に『千と千尋の神隠し』の『カオナシ』のイラストが貼ってありましたね。まあストーリーには関係無いのですが…。