ファイアーブランド ヘンリー8世最後の妻のレビュー・感想・評価
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【”私達は二人で地獄に行くのよ。”今作は暴君ヘンリー8世と6番目の最後の妻キャサリン・パーの関係を新解釈で描いた歴史サスペンスである。アリシア・ヴィキャンデルが演じると説得力ある作品でもある。】
ー ヘンリー8世ほど、映画で描かれた英国王はいないのではないか、と私は密かに思っている。それは即位後は賢明な王と言われていたが、一方では今作で描かれるように猜疑心が強く、又、時代的に権謀術数が横行していたために、周囲からの様々な諫言、進言、噂により、エリザベス一世の母である2番目の王妃であったアン・ブーリンや5番目の妻であったキャサリン・ハワードを姦通罪などで断頭台に送っているからである。
今作は、映画で言えばナタリーポートマン主演の「ブーリン家の姉妹」と、ケイト・ブランシェット主演の「エリザベス」シリーズの中間に当たる時代を描いている。
ヘンリー8世が描かれる映画としては、トーマス・モアとの確執を描いた逸品「わが命つきるとも」も、観ておきたいモノである。
あとは、シアーシャ・ローナンとマーゴット・ロビーW主演の「ふたりの女王メアリーとエリザベス」だろうか。ー
■16世紀の英国。5人の前妻を容赦なく切り捨てた暴君・ヘンリー8世(ジュード・ロウ)と望まぬ結婚をした6番目の妻、キャサリン・パー(アリシア・ヴィキャンデル)。
イングランド国教会を設立した事で、バチカンの正カトリック教会と対峙したヘンリーに反して、キャサリンはプロテスタントの信念に基づき国を光ある未来に導きたいと願っていたのであるが、ヘンリー8世は周囲の諫言も有り、キャサリンは”異端”のレッテルを貼られてしまうのである。
◆感想<Caution!内容に触れています。>
・ジュード・ロウ演じる晩年のヘンリー8世の、糖尿病による足が腐敗しているさまの描写や、ヘンリー8世が老いと共に、当時の女性としては珍しく書物から得た知識も含め、聡明だったキャサリン・パーを信頼し、自身が遠征の際には政治を任せている姿が前半は描かれる。
・今作でのジュード・ロウの怪演は、ナカナカであり且つての美青年の面影は特殊メイクも有り、全くない。ベッドシーンも含めて醜悪ですらある。
・元々、猜疑心が強かったヘンリー8世が、周囲の諫言により信頼していたキャサリン・パーの姦通や、彼女の信仰心を”異端”と考え、彼女の部屋の書物を調べるシーンで、キャサリンたちが、キリスト教改革を進めていたマルティン・ルターの本を隠すシーンは、正にカトリック教会からプロテスタントを切り離す宗教改革を指示していたキャサリン・パーの思想を表しているシーンである。
・今作では、多数の登場人物が描かれる。史実に名を残す人が殆どであるが、火炙りとなった伝道師の女性アン・アスキューなどは実在が不確定であるし、可なり当時の歴史背景や人物相関が頭に入っていないと、少し厳しいのではないかと思いかけた時に、あのビックリ!ラストシーンである。
けれども、演じているのがアリシア・ヴィキャンデルというところがキャスティングの妙で、”彼女だったらやっていたかもしれないな・・。”と思ってしまうのである。
<今作は、暴君ヘンリー8世と最後の妻キャサリン・パーの関係を、新解釈で描いたサスペンスなのである。ビックリ!>
なるほど…
ファイアーブランド ヘンリー8世 最後の妻
重厚なイギリスの歴史物語。
サスペンス色も強く、引き込まれました。
同時に、宗教の怖さも感じました。
守旧派も改革派も、自分が正しいと信じて、他の価値観は認めない。
今の2つの超大国の偉い人の様です。
ともかくも、掘り出し物でした。
ジュード・ロウ、ヒゲ過ぎて分かりませんでした。
心の炎
これまで5人の前妻に酷い仕打ちをしたヘンリ8世の6人目の妻キャサリン。夫とは宗教感が異なることが知られその身に危険が迫り…といった物語。
英史に詳しいわけではないですが、とにかくこのヘンリ8世、非道な国王ですね。脚の病気に罹り、余命幾ばくも…と言われてからまぁしぶといしぶとい。
そしてこうなると出てくるのが跡継ぎ問題。言葉の節々からあいつもこいつも権力を狙っているようで…。
そして何より自身と異なる信念を持つものを"異端"として処してしまう国王と、危険と隣り合わせになりながらも自身を貫こうとするキャサリンとその側近達。彼女らの強かさと悲壮感がこれでもかと伝わってくる。片腕前腕ギロチンチョークとは恐れ入った!!
そして…"計画通り"とでも言わんばかりのその笑みの意味は…!?まさかこれが狙いだったのか?
権力や信念に纏わりつく人間の愚かさや汚さがよく感じられるし、登場人物達が織りなすその場面場面の心情を考察したり、やや難しくも見応えのある作品だった。
historyではなくて“ herstory”
歴史は政治や戦争などの男性目線の物語(history)で、この点については数多の文献が遺されているが、その時代に共に生きたであろう女性目線の物語(herstory)は想像するしかない、という文言と共に始まる映像
この時代の西洋史はあまり詳しくなくて、ひと通りの勉強と「ブーリン家の姉妹」を観たくらい
(ナタリー・ポートマンとスカーレット・ヨハンソンの競演、お気に入り映画のひとつ)
映像の色味とか宮廷の重々しさ、作劇の演出は「ブーリン家の…」と地続きで良い。六番目の妻キャサリン・パー(アリシア・ビカンダー)が知的な煌めきと共に、自立した女性として描かれていて、女性が差別される時代の中で魅力を放っている
この映画のポスターがヘンリー八世(ジュード・ロウ、太ってる!)と顔を寄せ合う、いい雰囲気に見える二人のアップなので、題材がヘンリー八世でまさか普通の恋愛ものな訳無いし…と疑問に思っていたら、やはり普通の恋愛ものではなかった(笑)
ここからは私個人の事情だが、午前中の人間ドッグ終了後にこの映画を観たせいか、途中から睡魔が………
もう一回縁があったら、きちんと見よう
お伝えしたい点は「ブーリン家の姉妹」の、その後のストーリーなので、この映画が好きな方は、「ファイアーブランド」も楽しめると思います
女性目線の歴史は珍しい
ファイアーブランド ヘンリー8世最後の妻(映画の記憶2025/2/22)
ヘンリ8世と聞いては観るしかないなと。離婚するためにイギリス国教会を作った男。
しかも妻を追放、姦通罪、反逆罪とかで追い込み、6人の妻をもった人をジュード・ロウが演じてます。
高校時代に世界史の図解本見ててテューダー王朝のヘンリ8世の家系図的なとこだけバグってたからな。ちなみに初代エリザベス女王は彼の子供。
と豆知識はさておき、良く出来た欧州歴史もの。最後とかはわからんので事実確認しないとあれですが、最後の妻が主役なので、女性目線で楽しむストーリー。
ちなみにヒゲと衣装でジュード・ロウとわからんくらいの外見だったな。演技的にはイカれた王様らしく良かったかと。
監督の視点が強めに感じる作品。
(個人的評価6.5点/10点中)
それを「愛」と呼ぶのは男の幻想
2023年。カリン・アイヌーズ監督。自らの離婚を正当化するためにカトリックから抜け出して英国国教会を作ってしまったイギリス国王ヘンリー8世。その6番目で最後の妻になった女性の生きざまを描く。国王が宗教をも支配する体制において、聖書第一主義のプロテスタントに目覚めた女性はいかに権力と対峙するか。
王の留守には政務をしきる有能な女王でありながら、暴虐な王のひと声で殺されることもある立場の王妃。プロテスタントに肩入れしながら危ない橋を渡っているが、王の子を身ごもることで王亡きあとの政治力の確保を狙っている。ところが、王がなかなか死なず、逆に反逆を疑われて死の瀬戸際まで追い込まれていく。しかし、最後の土壇場で、王妃に「愛」を求める王の隙に付け込んで、、、という話。
DV夫がそうであるように、男は自らの抑圧性に無自覚であり、相手の一方的な献身を求めて、それを「愛」と呼ぶ。結婚は政治だと冷徹に認識している王妃は決してそれを「愛」とは言わない(劇中では「I love my King」とは言うが「I love you」とは言わない)。ところが同時に、前妻たちが残した子どもたちには親として愛情豊かに親切に接している。王妃に「愛」がないわけではないのだ。男の幻想的な愛と女の実質的な愛。
歴史的暴君と哀しみの王妃
最後の妻らしいラスト!
6番めのヘンリー8世の妻で、前妻の子供達を城に呼び寄せたり、病気の彼を看取ったとなかなかの美談情報を得ていたので、おおっ!とビックリしました。
が、やはり絶対権力よ国王に背くことは出来ないし、(前妻の2人は打首)あれこれの不条理を許せなく思うのは当たり前!彼女の最後の行為に違和感は全くなく、さもありなん。と
そんな妻役をアリシア・ビカンターは、とても見事に演じてましたね〜。バレッタのような頭の冠も似合ってたし。
ジュードロウの醜悪な王役も、立派です。(お尻は別人?笑笑)
56歳で亡くなったヘンリー8世、食べすぎ、太り過ぎ、糖尿病?で足が腐り激痛も天罰じゃ!!
あ、透き通るような白い肌の後のエリザベス女王の語り口と存在感もあっぱれです。
近づいてきた太った司教に「触らないで!」って跳ね除けてるシーンも印象的◎
糖尿病は怖いね
なんでこんな賢い女性がこんなクズ男と……
愛に飢えていた暴君と賢明な妻
Desperate wife
ヘンリー8世や英国王室の歴史に対しての知識はゼロに等しいので、HPの情報と目で見ている映像のみで楽しむ努力をしたが、少なくともイングランド国教会設立あたりについては事前に勉強しておくべきだったと悔やんだ。
史実に対して極端な解釈をしていない事で時代劇としてのリアリティと荘厳さを維持できてはいるが、そのために抑揚やサスペンスフルな展開が見られずエンタメ性には欠けたように思う。
特に二人の妻を処刑した悪名高い暴君の6番目にして最後の妻がいかにして生き残ったか・・・というハラハラするはずの主題に対しての緊張感は残念ながらもう一つだった。
ただジュード・ロウの役へのアプローチにはプロフェッショナルを感じ、アリシア・ヴィキャンデルも稀代の賢い女王に相応しい気品と知性と勇敢さで役に臨まれ、それぞれがピッタリとハマっていた良い作品だとは思った。
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