PERFECT DAYSのレビュー・感想・評価
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泣けた 地元が舞台なので満点
作品中、1960~70年代のロックや日本のフォークソングが流れる。
そのうちの1曲、68年、オーティス・レディングが歌った「ドック・オブ・ザ・ベイ」。
今から37年前、今と同じく「無職」だった僕が車に乗りながら聞いていた歌である。
25歳の無職だった僕、62歳の無職である僕。37年の年月――。
泣けた、泣けた、泣けた。
今も、昔も、そこにあるのは「PERFECT DAYS」なのだ。
今、そしてあの時も。あの場、この場に居た僕。そしてあなた、見たこともない、彼ら彼女ら。
すべてが生きていることが、PERFECT DAYSなのだ。
そう思い、そう感じると、涙が出てきてしようがなかった。
カンヌで主演・役所広司が最優秀男優賞を受けてから、特報、予告編として流れるシーンで彼が自転車に乗る、それが、隅田川にかかる人道橋「桜橋」なのだ。
ここは、僕が住む自宅マンションから900メートル、走って7分の場所にある。いつも、今朝も走って来た場所――だ。
東京の下町・押上はスカイツリーのおひざ元。そこに役所演じる主人公が生活する。
京島の銭湯に行き、業平のコインランドリーを使い、地下鉄浅草駅の地下商店街で一杯やる…。
それでいて、経ワゴンで高速を使って渋谷までトイレ掃除に行くというのは、現実にはない話だが、映画として見た場合、出てくる近代的で清潔な公衆トイレと崩れかかった下町のボロアパートやごちゃごちゃした街並みのギャップがよい。
物語に筋らしい筋はなく、役所が口にするセリフもほとんどない。
それでいて、漂うこの雰囲気はなんだ! 彼の表情、泣けたよ。
2023年後半、僕が見た映画はどれもいいものが多かったけれど、これがベストかも。
小津を敬愛するヴェンダースの作品は、見る人によっては退屈極まりないだろう。本作も、そう感じる人は多いかもしれないが、心にしみる作品なのである。
作品傾向が似ている感じの、アキ・カウリスマキの「枯れ葉」も見たが、あれは僕にとって退屈だった。★2つでレビューを書こうと思ったが、やめた。
退屈と感じる人も、そう感じない人もそれぞれ。
墨田区が舞台というのに、錦糸町の映画館で上映されないのが非常に残念。亀有まで行ってきたよ。
ある日ではなく日々ですね
まさにパーフェクト。
さすがヴェンダース監督。最近見ないスタンダードサイズの映像の中で、おじさんが生活してるだけ。なんでもない日常を切り取っただけなのに、恐ろしく感情が同期される映画だった。私がおじさんだからというのもあるだろうけど、それだけでもないし、作風の好みや相性が良かっただけではないだろう。(と、思いたい)
話は、公衆トイレ掃除人の、変わり映えのしない日々が展開されるだけなのだが、いつのまにか引き込まれていた。
朝起きて、車に乗り好きな音楽を聴きながら仕事に行き、昼休憩と、帰り道、仕事終わりの銭湯や一杯飲み屋での、ちよっとした息抜き。夜は布団の上で好きな本を読んで、眠くなったら明かりを消して眠り、夢を見る。そしてまた朝を迎えて…。そんな彼のまさに完璧な日々。バタバタ仕事をしている我が身からは羨ましく思える、まさにパーフェクトな日々。
そんな平穏な日常に、周囲の人々から差し込まれるさざなみのような出来事。それらを温かく受け入れて、また平穏な日々に溶け込んませて行く。ルー・リードのPerfect dayが流れ、いつしかトイレの掃除人の人生に共感し、憧れすら抱いている自分に気付く。
もちろん、役所広司さんが素晴らしい。寡黙な男の設定なのだけど、それにしても最初の30分くらい一言も喋らない。おじさんが早朝に目覚め、布団を畳み、歯磨きや身支度をするだけの映像が淡々と流れる。普通なら、これ誰が見たいの…なのだが、さすがの役所広司さん。玄関を開け、空を見上げて深呼吸、自販機で缶コーヒー(もちろんBOSS)を買って、作業車へ乗り込む。(車はダイハツだったな)だいたいこのあたりまでが朝のルーチン。何度も繰り返されるのだが、それがなんか心地よい。詳細は控えるが、ラストも名シーンだと思う。
同じ役所広司さん主演で「素晴らしき世界」(西川美和監督)がある。あちらも社会復帰を目指して一人暮らしのおじさんの話。性格はほぼ真逆な足を洗ったヤクザの設定でしたが、良い映画でしたので、役所さんの演技を見比べてみるというのも面白いかも。
年の瀬に良い贈り物をいただいた。
海外から見た場合の作品であることに注意しないと変な見方になる…
今年427本目(合計1,077本目/今月(2023年12月度)28本目)。
(参考)前期214本目(合計865本目/今月(2023年6月度まで))
表題に書いたのが全てを物語っているような気がして、大手のシネコンで放映されている割に極端にセリフが少なかったり展開が変だったり(一度しか出てこなかったり、ストーリーの筋と関係のないものが出てくるなど混乱させる)という、音響設備がぶっ壊れたんじゃないかというほどにセリフが少ない映画です。
結局のところ「海外から見た日本を描く」作品なので、インターネット、スマホ他で広がった「人と人との間隔」、あるいはコロナ事情によるそれ、あるいは、映画内で何度も描かれる多機能トイレほかを描くのか(多機能トイレ「自体」は海外にもあるのでしょうが、映画のように何度も出てくるというのは、建築物としてのそれに着目したものと思います。ただこの為に見方によっては何を述べたいのかわからない)、色々な見方があろうと思いますが、個人的には折衷的な見方でみました。
かつ、上記の「極端にセリフが少ない、何を言いたいかわからない」他が意味するところは、映画の最後の最後になってはじめて「海外から見た日本を描く作品」である点であり、このことはなかなか最初ではわかりづらいので、途中で脱落する方も多数出るんじゃないか…という気がします(実際、3割くらいの方が途中で抜けていた)。
個人的に気になった点としては、やはり以下のような点があります。
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(減点0.3/(日本において)多機能トイレの抱える問題に触れていない)
これだけ多機能トイレを舞台(?)にした映画であるのに、日本においてよく言われるこの問題、つまり、健常者(ここでは、身体障がい等があっても意味もなく占有する類型も含む。以下同じ)の方の「多機能トイレの占有」や「家と化する」問題(この問題は一部、ホームレス問題(福祉行政)と絡む)、あるいは「想定されていない使われ方をする」(そこで焼肉をやったりといった極端な類型があった)といった問題が「日本には」存在することは事実で、映画内ではこれらの行為は描写されていませんが、これだけ多機能トイレを描写するのなら、その点は当然監督の方も日本サイドとのやり取りでこの論点を知っていたと思われるため、この点にはエンディングロールでも触れておいて欲しかったです。
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なお、上記のように「成り立ちが特殊」な作品なので、作品とは無関係な人物や描写(すなわち、ノイズ的描写)が他の映画と比べて多いのですが、謎解きものでもないですし、「そういう作品」と割り切るしかないです。
※ このことは実は「映画好き」ほど混乱させる要素が強く、作品内では途中、音楽カセットテープのお店に行くシーンで、ルーリードのテープの写真が出てくるところがあるのですが、某作品…というか、「初代ベイビーわるきゅーれ」を彷彿とさせる部分(主人公のまひろが作内で何度か着ているTシャツの柄がそれ)など、「ネタ映画なのか」と思ったりと混乱度合いはそこそこあります(まぁ、これもマニアなんでしょうが…)。
面白みなどかけらも無し。役所広司だからこその作品。
いつもと違うシネマサイズにこの映画が普段と違う…って感じさせます。
流石すぎるなと。
無口の中に思いを伝える演技。
あくまでも自然です。
日本人みんなが彼のようにあれればどんなに幸せ?
少なくとも監督には理想的な日本人なんだろうかなと。
コンビニのトイレが使えない都内では公衆トイレはほんと助かります。
清掃管理してくださっている方には感謝しかない。
偶然にもお会いいた時には「ありがとう」「ご苦労様です」の一言は日本人なら言うよね?
ましてや『清掃中』の看板倒すなんてありえません。
完璧な選曲に酔い、味わい深い佳作
ジム・ジャームッシュの佳作「パターソン」2016年を否応なしに想起する。何でもない日常を淡々と描く。「パターソン」でもそうであったように、本作でも音が極めて効果を発揮する。竹箒で早朝掃くガサガサ音を皮切りに、ダイハツ(嗚呼)の軽のエンジン音、終始首都高を走る車の音。生活の生の息吹がひたひたと伝わってくる。思えばドイツのヴィム・ヴェンダースとアメリカのジム・ジャームッシュとはその名前の韻からして混同し易く(少なくとも私は)、制作スタンスも指向も何やら共通点が重なる。ともに既に70代、実際のところ過去の華々しいカルト扱いの輝きを未だ背負っての新作でしょうが、本作の静謐から立ち上る肯定感は深い味わいを残す。
主人公の名前が「平山」とあるとおり、小津安二郎ファンであるヴェンダースにとって変形の東京物語の様相となった。都なのか区なのか民間会社なのかまるで不明ですが、都心の公衆トイレを定期的に清掃する仕事をしている中年と言うより初老のルーティンを密着で描く。この平穏にどんな波風がドラマとして起きようなんて、観客からして思っていないはず。何にも起きないけれど多少の避けがたい事象で、平山のスタンスをクッキリと形作ってゆく。
その関わる人々がまた豪華で柄本以外はほとんどチョイ役ですが、印象を残す。柄本時生、中野有紗、アオイヤマダ、麻生祐未、石川さゆり(なんと唄ってくれる!)、三浦友和、田中泯、甲本雅裕、松居大悟、研ナオコ、モロ師岡、あがた森魚、安藤玉恵などが、画面の中で息づく。それぞれのエピソードに挟まれるように、モノクロの平山の追憶が漠然とインサートされる。決して平山の過去を暗示しようなんて端から意図はない。
最初の妄想シーンで示されるのが「影」の文字、以降は漠とした木漏れ日にオーバーラップ映像で雰囲気だけの提示が続く。しかしいよいよのラスト近くで大トリのように登場する三浦友和との出会いの時に「影が重なると濃くなるのか?」の問いに対し、いい大人2人で影踏み遊びをやってのけるシーンが興味深い。「影が重なったらより濃くなってくれなきゃ」と吐露する平山がそこにおり、本作中最もと言うより唯一自分の言葉として吐く。一転して、新たな一日が始まり車を運転するが、これまでずっと助手席側からのカメラ映像だったものが、ラストのみ真正面から運転する平山を長廻しで捉える。笑ったと思えば軽く涙ぐんだりの、さり気ない演技の変化が絶妙で、悲観より肯定感で締めくくる。
それにしても今時カセットテープで、しかも曲によっては中古でも1本1万円で売れるご時世とは驚きました。なによりそのカセットから流れる曲が振るっている!世代的に近いこともあり、「THE HOUSE OF THE RISING SUN」が唐突に流れたら血流が逆走するかのようでした。「THE DOCK OF THE BAY」、「SLEEPY CITY」、Lou Reedの「PERFECT DAY」、「FEELING GOOD」などなど、よくぞの選曲に涙涙です。邦画ですと超有名曲の使用許諾に二の足を踏む場合が多く、流石のドイツとの共同制作の賜物でしょう。
当然にドイツ人から見た東京が視点ゆえに、終始画面のセンターに鎮座するスカイツリーをはじめ、首都高の複雑な曲線を好んで捉え、肝心のトイレも最先端のオシャレなものばかりで、古びたトイレがまるで出てこない辺りは少々複雑ですが。もし病気になったらの懸念も解消はされない。念のため毎朝の缶コーヒーは見えないように手にしてますが、明らかにサントリーのBOSSで役所広司的には安心しました。
唯一彼の妹(麻生祐未)が運転手付きの高級車に乗っており、「本当にトイレの掃除をしているの?」と差別意識を滲ませるシーン。平山のかつての地位を忍ばせるが、深追いはしない、そんなことは実にどうでもよく「今」の充実の静謐が小津安二郎に繋がるのです。
『おじさんが便所掃除してるだけ』
アベンジャーズ映画を「世界を救うだけ」と言わないように、おじさんだって日々いろいろな出来事を経験して喜んだり悲しんだりするし、便所掃除だってぐっと近寄ってみれば知らなかったいろいろなことに気づく。
我々がついひとくくりに「だけ」と軽視しがちな事も、こんなに細かい要素から成り立っていて面白いんだという事を教えてくれる。
役所広司の演技に支えられている部分も大きい。映画の前半彼はほぼ無言だが、たしかな演技力によっておじさんの人となりが表現されている。所作はどことなく上品で、整った部屋の様子などを見ても分かるが貧すれど鈍していない。これは中盤で理由が示唆されるが、はっきりと伝えず視聴者の想像に任せる形になっている。
エンディングで彼が泣いていた理由は何だったのだろう。朝日が眩しかっただけかもしれないし、出会った人々のいろいろな出来事に対して自分の日常があまりに平坦で虚しくなったのかもしれない。
終わったあと気持ちが良い映画だった。
まさに、─イズム
日々の記録を淡々と─、まさしくどこぞのあの監督の思想を反映させたかのような作品。あまりにも平坦で、もしかしたら、つまらん!と一刀両断されるかも・・・そういう意見もまた納得してしまうのですが・・・
光と影の表現とかスチールとか、個人的にドンピシャな表現があまたあったので相当引き込まれました。小津映画も大好きなので─
確かに、東京の公衆トイレって最近新調されているなぁとは感じていましたが、あんな種類があるなんて─。移りゆく東京、変わらない東京、過去に住んでいたアパート、いまエントランスから見えるスカイツリー、程度が違えど自分とリンクするものばかりで非常に心に響きました。この風景を日本人ではなく外国人が撮ったことに少しガッカリ・・・でもそれがヴェンダースであるということに歓喜。色々と味わい深い作品です。
役所さんは最高なんですが、もう少し、彼だけに頼るのではなく、話自体にストーリー性を与えてくれればもっと小津的感動を味わえたのかなぁと生意気な気持ちも生まれちゃいましたが、そんな自分勝手な欲望なんて関係なく、文句なく素晴らしい作品です。
缶コーヒーはBOSS!
主人公と同じようにスカイツリー近くの隅田川近辺に住み首都高に乗って東京タワーを見ながら港区近辺とかいろいろ通っていた時期があってとても懐かしい風景でしたが、まったく違って見えました。何度か使わせてもらったトイレもいくつか出てきて感慨深く鑑賞しておりました。光や公園の木漏れ日はとても美しく車のカセットテープで聞く素晴らしい名曲の数々が素晴らしいです。当然のことながら役所広司さんは最高ですし、ヴィム・ヴェンダース監督も素晴らしい。役所さんがカンヌ映国際画祭で主演男優賞をとった素晴らしい作品ですので多くの方に見てもらいたいです。
足る、を知る。
東京という情報の多い場所で、日々の
生活の中にある幸せや、ちょっとした人との
コミュニケーションの温かさを、とても豊かに表現している作品。
役所広司さん演じる平山はトイレの清掃員として
丁寧にきちんと仕事をこなしていきます。
公衆トイレという事もあって、同僚のタカシ(柄本時生)からは「どうせ汚れるんだから」なんて言われるけど自分の仕事を実直に全うしていく姿は清々しいです。
木漏れ日、が随所に出てきます。
陽の光の使い方がとても美しいです。
平山が空を見上げる表情は言葉なくても
幸せだな〜と語っているようで、幸せホルモンのセロトニンがバンバン出ているようでした。
そして今既にある生活の中の幸せや大切なことを
教えてくれます。
スマホに目を落とすだけでなく、
空を見上げたいものです。
平山のシンプルライフ
長く生きてれば色々物やしがらみが増えてゆく。断ち切るのは難しいんですよ。
彼の生活は有る意味憧れのシンプルライフ。カセットの6070年代音楽で止まってるのは個人的には共感できる。同年代なので。
薄々背景は分かるが納得できるほどの説明はない。
達観してるのか? 兄弟なら一言言いたくなるだろうけど、幸せそうでは有る。
雑事は避けられないけど人の暮らしは平穏な繰り返しが一番。
毎朝の仕事前の笑顔はちょっと嫌だったが
最後の顔芸は圧巻だった。
商業映画にはまねできない
78歳のヴィム・ヴェンダースが東京のトイレ清掃員の「完璧な日々」を描いたものすごく小さな世界のものすごく卑近な物語である。たいした事件が起こることもない淡々とした日々を主人公がコレクションしている洋楽カセットの曲にのせて124分見せられるのだが、これが驚くほど映画の魅力にあふれており役所広司の超はまり役というか普通に朝起きて布団をたたんで歯磨きして・・というそのまんまをドキュメントしたようなほとんどセリフもない演技でカンヌ男優賞を獲った(海外の方には字幕を追わなくて済む分演技が分かりやすいのかも知れない)。まず見始めて思うのは西川美和「すばらしき世界」のその後を描いたのではないか?ということ。しかし安アパートで自分で炊いたご飯を食べる喜びはタイトルにもなっているル・ーリードの「Perfect Day」(すばらしき日)であってどちらかというと「特別な一日」で、すぐにそんな「素晴らしき世界」なんて嘘っぱちであることが分かる。「PERFECT DAYS」は真逆で、特別なことは何もなくただただルーティーンが維持されていくことの心地よさを提示する。私の世界はあなたの世界とは違う姉の住む世界とも違い交わることは無い。発展しそうな事件が起こるふりを振るだけ振っておいて肩透かしをくらわす。ホームレスの田中泯。公園で出会うランチタイムのOL。三目並べゲーム。最大の事件たる家出してきた姪っ子にしてもあっけなく収束し、夜ごとに観る夢にも全く意味は無い。ドラマのない映画の傑作が生まれた。銭湯と湯上りのチューハイ、週に一冊の文庫本だけで人生は十分に楽しいのだ。
真なる豊かさとか
まるで主人公が質素な暮らしでこの生活が貧困層かの様なコメントをよく見ますが
監督が日本以外にも関わらず、その基準に疑問を感じます
まず国際的に見て、主人公が送っている生活は質素ではありません、むしろ命の危険がなく、五体満足で、重い病気もせず、衣食住、毎日の食事の心配をほぼしていない、それは質素な生活でもなく、当たり前の日常でもありません
皮肉にもこの映画は監督が日本人でないのに、日本国内の常識でしか通用しないと思います、
この映画を評価しているのはあくまで先進国だけの賞レースで
試写会で映画を見たり、1週間に何度も映画館で映画を見れる様な人ばかりがレビューを書いて上級国民が創り上級国民が感想をいい、まるで真の豊かとは何かを知ったようのうっとりしながらレビューを書く。
この違和感はジョーカーを観ている時にも感じました。
ジョーカーに共感した様な気になってますが、我々は高いお金を映画館で観てポップコーンを購入できる上級国民なのです。
それがジョーカーの気持ちを分かった気になるほど滑稽なものはありません。
この先も僕は(宝くじが当たらない限り)やつとの思いで泣け無しのお金をはたいて
週に1回休みの日に自分へのご褒美として映画を1本観ます
気軽に映画が観れるこのサイトの住民をうらやみながら。
トイレの神様
神風タクシーから年齢変わってへんがな
波長。
ベンダースやっぱり上手いなぁと思った。
こういう内容は波長合わないとすぐ退屈になってしまうが、わたくしはガッツリハマりました。
ベンダースは映像の力を信じてるんだと思う。そして役所氏の演技の柔らかさ。言葉が殆どなくても見てる人を引っ張っていく自信があるんだ。退屈になる前に何か起きたりカットが変わる。夢の抽象的なシーンもそんなに長くない。
かなり淡々としたトイレ掃除の毎日を丁寧に生きる男の話なのに、毎日ちゃんと何かある。淡々としてるから小さな事でもドラマチックになる。バラバラな事象なんだけど主人公の中では感情のウネリになっていく。そして観客は主人公の輪郭、過去や未来が感じられ予想、期待してしまう。
パーフェクトデイはつまらない普通の毎日の事なんだな。
それはつまらない=何も無いという事じゃなくて、小さな偶然の重なり、二度と無いその瞬間に気付いた人だけが享受出来る1日だ。
ヴェンダース監督のあたたかい目線
今年いちばんの映画。トレイラーを観たときからの共感度は尋常じゃなかった。そして本編。もうね、ずっと心が満たされたしいろんな想いが溢れてきた。このドライな現代に出現した奇跡的な作品だ。役所広司さん扮する平山のおだやかな顔をみてるだけですごく安心したし感動してしまう。たぶんそれはヴィム・ヴェンダース監督の視線でもあるからだろう。ヴェンダース監督の人をみる目はどこまでもあたたかい。特に弱い人々にそっと寄り添う。そういった意味で「ベルリン天使の翼」のようだ。それに東京をこれほど魅力的に撮りあげたことに驚嘆したし、感謝しかない。セリフはかなり少ない。余計なリアクションもない。だからこそ平山のセリフひとつひとつに強いメッセージを感じる。セリフのひとつに「この世界は、ほんとはたくさんの世界がある。繋がっているようで繋がっていない」的なものがある。物事は見ようによっては悪くも映るし大したことじゃないようにも映る。うん、そうだよね。そういうことだよね。ときおり笑いを挟む演出も上手い! ラストシーン。ここでは役所さんの力量をみた。演技というより役所広司という人間そのものが滲みでたショットだ。彼の表情だけでこれほど感涙するとは。。そして平山のモノクロの夢は「8 1/2」のグイドの夢を連想させられて示唆的でとてもよかった。いやぁ、こんなに味の濃い映画にはなかなかお目にかかれないね。音楽もサイコー。サントラ出たら買おうっと(^^)
木漏れ日と笑う大切な人
洋楽を〝ほとんど知らない〟レベルの私は、こういう映画−つまり、流れる楽曲それぞれの歌詞に色々なテーマを被せているであろう映画−を見るといつも損した気になるし、とても悔しいのです。
それでも十分に感情が揺さぶられました。
繰り返されるトイレ清掃人の日常のルーティンが、見る人にとっての鏡となります。
何を感じるのかはもちろん人それぞれ。
あ、オレと同じだ。
誰からも褒めてもらえないけど、いつも真面目に黙々と仕事してる。
みんながやりたい仕事ではないかもしれない。だけど誰かがやらなければ社会が回っていかない仕事。
私もそういう矜持を持って日々生きている。
オレにはムリ❗️
何が楽しくてあんな仕事が続けられるんだ?
年齢や今取り組んでいる仕事、これから社会に出る人等、状況によって、受け止め方は本当に違ってくる。
私の場合、日々のゴミ回収や原発の廃炉に携わっている人、電気水道ガスなどのインフラ維持や災害からの復旧に携わっている人、などが浮かび、世の中はそういった多くの献身的な人たちによって支えられているということをあらためて思い出しました。
感謝の思いでいっぱいです。
以前、どなたかのエッセイで〝木漏れ日〟についてこう書いてありました。
sunshineという言葉はあるけれど、木漏れ日に当たる単語はないので、翻訳する時は、説明的な文章になってしまう。
この映画の最後に、木漏れ日とは日本語特有の表現である、という説明が英語で書き出されます。
木漏れ日は、季節によって、眩しかったり、温もりを感じたり、感じ方が変わります。
雨上がりの木漏れ日が葉っぱに浮かぶ水滴に反射したり、場所や時間帯によって、色合いだって変わってきます。
どんな人生だったのか、細かいところまでは描かれないけれど、今は、日常の中の木漏れ日を見つけるだけで満足できる生活を送っている男の物語。
時には、雨続きのこともあるし、容赦なく直射日光が襲ってくることもあるのだと思います。
役所広司さんが凄いのは、ラスト数分(一曲流れる間?)のフロントガラス越しの表情だけでですべて語れることです。
過去も現在も、そしてこれからも。
セラヴィ❗️
それが人生だ(フランス語でC’est la vie.)❗️
(余談)
前期の朝ドラ主題歌『愛の花』にもこんな歌詞があります。
木漏れ日と笑う
大切な人を
失う未来なんてこないで
〝木漏れ日〟の持つ侘び寂びその他諸々のニュアンスをもう知ってるなんて❗️
凄いぞ、あいみょん‼️
役所さんの表現力と存在感
「東京国際映画祭(TIFF)」開催記念の、先行上映で拝見。
木漏れ日や、小さな木の芽を見て慈しむ男の過去に何があったのか。
全てが明らかになるわけではないが、語らず察してください、という作り。
ともすれば、うっかり寝ちゃうくらい淡々とした作品で、役所さんの表現力と存在感がなければもたないレベルに思えたのでした。
カンヌなど映画祭で、日本人メンタルを深く表現した点を評価されるのはよくわかりますが、日本の観客にはこの侘び寂びのような映画は興行的にどうかな……?
石川さゆり、三浦友和、研ナオコの登場の仕方にドッキリ。
武蔵野館のスクリーンで観たいな
シネコンではなく風情ある映画館の小さなスクリーンが似合う作品。
受賞は個の俳優に贈られたもの。 その芝居とBGMはただ淡々と上品で丁寧。
ただし他の俳優陣に見るべきものはない。
それだけなんだけどね。 心地良い。
それだからこそ☆3つが文句なしの最高点。
ヴェンダースの日本。静かな傑作。
東京のトイレを紹介するドキュメントを撮る企画が、ヴェンダース監督に役所さんという最高の組み合わせで映画が出来た奇跡的展開が、こんな素晴らしい名作になった。毎日起きてトイレ掃除している彼の人生と、毎日パソコンに向かい仕事をする自分の人生がシンクロしたし、こういう普通の人の人生をこんなに美しく撮れる監督はいないと思う。心に響いたし、是非、日々働く方は見て欲しい。
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