PERFECT DAYSのレビュー・感想・評価
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鑑賞後思ったこと
最近映画鑑賞後、レビューを書く頻度はめっきり減った 他の用事もあるし、一番はなかなかに自分の理解力が追いつかないことがある。
この映画も約2週前位に鑑賞したが、あのビンダースの作品にしては分かりやすかったものの、「なぜ今?」という思いが勝って書く意欲はわかなかった 結論私は好きな部類の作品ではあるが、どこか今の日本とはかけ離れたこの映画のシチュエーションは心に何かしらのわだかまりとして残ってはいる
好きなシーンは木漏れ日のシーン・パンを食べる神社境内のシーン、そしてなによりラストシーンの運転しながらの表情で人生を現す役所さんの見事な演技です
こんなに好きな作品なのに、ひっかかるのはシンプルに生きるその姿を肯定するようでいて、その背景はないことになってしまっている点。点描だけなら今の日本(あるいはTOKYO)は外国人の方から見たら不思議な素晴らしい光景にみちみちているのかもしれない
だがこのエッセンシャルワーカー達の日々の苦悩は素通りのようだ。柄本くん代わりの安藤さん等の背景を描かない分、目ざわりが良い静謐なシーンが続いていく。ここからも今の日本の真の姿を描いているとは思えない?観光映画と割り切るしかないの?
(追加)
案の定 万博トイレ二億円等報道されましたが、こけおどしの「トイレにびっくり」みたいなセンス・観光利用は止めてほしいです
感じたままが正解なのかもしれない
役所広司の最後のワンシーンが肝。
同じ日々も常に新しい人生の始まり
昨年から急激に映画を見るようになって、でもその映画が意外とすぐにamazon prime とかで見られるようになってがっかりする、そんな経験をし始めている中でも、映画館で見ておいて良かったと思う作品だった。静かに、わずかなアップダウンを楽しみ、じっくりとメッセージを咀嚼する映画。きっと家で見てたら浸ることはできなかった。
毎日、きっちりと同じルーティンで生きている主人公、平山。そんな毎日にも、否応なく変化は起きる。同僚がサボったり彼女を連れてきたり、姪っ子が家出して転がり込んできたり、常連のスナックのママの知らない姿を見てしまったり。そんな中でも変化を楽しむわけではなく、少しだけ迂回して同じ日々を生きようとしているように見える。でもそんな彼が初めて会った末期癌の男と影踏みをしながら、変化がないなんておかしい、と言い切るのだ。
役所さんはほぼ話さない中で色々な思いを表現しててやはり凄かった。朝外に出て天を仰ぐ時のよろこび。働かない同僚が懐かれていた時の微笑ましさ。好きな音楽を分かち合えた時の嬉しさ。日々の苛立ち、戸惑い、照れ。急な悲しみ。
最後のシーンで流れるNina Simone のFeeling good という曲、"It's a new dawn, it’s a new day, it’s a new life” という歌詞が沁みる。日々どんなに同じに見えてもやはり新しい1日であり、新しい人生の始まり。この曲を聴きながら最後目まぐるしく移り変わる平山の表情、感情に引き込まれた。
丁寧な暮らし😌
配役が良い。えっドイツ映画?
日本人役者によるヨーロッパ映画みたい。
と、思っていたら、監督がドイツの方なのですね。
テーマがわかりやすい邦画とも、
どんな内容かわかりやすいハリウッド映画とも違う、
観る人によって響くところが変わる映画だと感じた。
事件らしい事件も起こらず、けれど、何か深いメッセージが込められているストーリー、うん、ヨーロッパ的♪
日本の木々の清々しさ、緑を通した光のはかなさ、公衆トイレのとってつけたようなアート感、日本的だ。
この映画、とてもよい化学変化だった。
前半、平山は無口で、ほとんど声を発せず、同僚のタカシのおしゃべりだけが耳に残った。
後半、転がり込んできた姪と話すようになったことをきっかけに、平山の人となりと感情がくっきりとあぶりだされてくる。
見事。
トイレの清掃という仕事に熱心に取り組む平山に、タカシがいうセリフ。
「どうせ、すぐ汚れるのに、なんでそんなに一生懸命掃除するんですか」
平山は、無視もせず答えもせず、黙々と掃除を続ける。
これこそ答えだというように。
明日から、まじめに仕事しようと反省しました(-_-)
木漏れ日
優れた作品だとは思うけれど……
完成度の高い、優れた作品だと思います。
以前にも何かのレビューで書きましたが、主人公に明確な目的(たとえば、「逃げる」「捕まえる」「勝つ」など)がないストーリーを退屈させずに最後まで見せるのは、なかなか難しい。
本作もとくに何が起こるということもないお話。事前にだいたいの内容は知っていたので、寝不足で出かけたし、眠たくなるかなぁと少し心配していたのですが、そんなことはまったくなくて、きゅう~っと映画の中に引き込まれていった。「何なんだろう? この力は」と思いながら。
禅の修行や、茶の湯の作法のように、平山の動きには無駄がない。そんな彼の淡々とした生活をとおして、とても大切なことが表現されている。この作品には、人間という存在とその営みの本質がしっかりと描かれているのではないか。だからこそ退屈せずに最後まで緊張感を持って鑑賞できたのだろう。――そう思いました。
でも、その一方で「これがPERFECT DAYSか?」と、他者とのやりとりが極端に少ない平山の日常にどこか物足りなさや違和感をおぼえたし、それから作為的というか、少しわざとらしさのようなものを感じた場面もありました。そういったところに意識をフォーカスすると、この作品をどうも手放しで賞賛できなくなってくるのです。
そして、本作の背景を知ると、さらに見え方が変わってきた。脚本にたずさわった方のことです。日本を代表する大手企業 D社に属するエリートが、(柳井氏と組んで)トイレ清掃員の日常をネタに「いい話」をでっちあげたんじゃないかという気がしてきた。そんなふうに見ると、この映画のリアリティーが急に失われていくような感じがしたのです。あるいは、さっき書いたような「わざとらしさ」を感じたのは、そういったこの映画の成り立ちを無意識のうちに嗅ぎ取っていたからかもしれません。いや、ダメだな。いくらD社に(それから柳井氏の会社にも)いいイメージを持っていないとはいえ、こんな穿った見方をしたらいけませんね。ごめんなさい。
さて、……上記のほかに印象的だったのは、脇役の使い方が贅沢だということ。とくに女性の使い方がうまいなと感心しました。
著名な外国人監督が撮ったという先入観があるからか、東京の街もどことなく違って見えた。
平山の穏やかな日常。それに反するように時折挿入されるモノクロの不穏な描写は迫りくる老いや死のイメージか。そして「光」と「影」の対比もこころに残る。
市井の人々の、また、日々の繰り返しの中の「静かなすごみ」を巧みに描き出しているのは、小津の精神を受け継いだ成果なのでしょう。
「感じること」に長けた平山さん、ステキです。
というわけで、『PERFECT DAYS』。最初に書いたように優れた作品だとは思いますが、いささか引っかかるところもある、好きか嫌いかと問われれば、ちょっと考えてしまう映画です。
それにしても、東京にはユニークなトイレがたくさんあるんですねぇ(「THE TOKYO TOILET」の取り組みじたいに文句をつけるつもりはさらさらありません)😊
淡々とした日々の繰り返しが描かれますが・・なぜか飽きないし 退屈も...
淡々とした日々の繰り返しが描かれますが・・なぜか飽きないし 退屈もしない・・不思議な映画。
外国人の視点で描かれる日本は、時に????と感じることが多いが、この映画は、そういう違和感が全くない・・。小津安二郎を連想させるビム・ベンダースの深い「日本」理解が描き出されていると思う。
好んでいる音楽や、書籍・・規則正しい生活パターンから、只者ではない過去があるのでは・・・と役所広司演じるところの平山さんに対する興味を湧き立たせられる・・、生い立ちはこうだったのかな?、どんなことに傷つき挫折してきたのだろう?など・・。最後まで、平山さんの正体があかされる事はないが。
なんとなく、ぼんやりとした人物像が浮かび上がらせて・・映画は終わる。
喜びと悲しみは表裏・・嬉しい事が悲しい事を思い出させてしまうのか・・平山さんの最後の表情がとても印象に残る・・。
トイレ清掃でなくても、今の日本で表舞台には出てこないエッセンシャルワーカー、例えば「ノマドランド」の物流ワーカーなどが設定であっても面白かったと思う。
仕事に行く時には、腕時計をしないけど、休みの日には時計を身に付ける、平山さん。これは、どんな意味があるのかしらん・・。仕事は判で押したように過ごすから時計は必要ないが・・休みの日は、行動が流動的になるからなのかしらん? どういう意味を持たせたのかしらん? 気になる・・。
こういう風に、細かいことが気になってしまうがクセなのですが・・。
なんで、出かける時に 部屋のドアに鍵をかけないのだろう??当然、帰宅時にも鍵を開けない・・
キチンとした性格の平山さんは鍵をかけると思うのだけど・・。見た目の演出の問題?
でも、姪が尋ねてきた時には、鍵を開けて部屋に入るし・・。
役所広司がカンヌでの男優賞受賞も肯ける、役所広司は偉大な俳優だなぁ。
再発見
2023年カンヌ映画祭主演男優賞、役所広司。
へえー、すごい。監督は黒沢清? え、ヴィム・ヴェンダースなの? どんな作品? 東京のトイレ清掃員? なにそれ。
おかしくないか?このパッケージ。ヴェンダースがそんな映画を撮るか、普通? 役所広司を起用するのも意外だし、ヴェンダースがトイレ清掃員の映画って、想像の埒外だし。
永瀬正敏に庭師をやらせる、ならすごいよくわかる。
まあ、なにはともあれ、役所広司が主演男優賞なのは祝福すべきことだ。ヴェンダースだし、観に行かない理由はない。
ヴィム・ヴェンダースを再発見した。
サウンドトラックがすごい。
溝口健二を想起させる。
この作品が企画された経緯がどうあれ、その資金がどこから出たものであれ、だ。
優れた作家が、優れたスタッフと、優れた役者で、しかるべき場所でしかるべく撮られると、僥倖となる。
平山は、そうなっていたかもしれないオレだ、と思い入れる中年男性のひとりです。
完璧な一日はきっとどこまでも小さな光が見えるそんな日
この前予約した日を勘違いしてしまって行けなかったので今日は間違えずに行ってきましたw
ヴィム・ヴェンダース作品をロードショー期間中に映画館で見るのは初。
前評判なども気にしつつ映画館に入る。
ドキドキしながら映画が始まる。
冒頭数分でなんだかわからない気持ちになり泣き出してしまった。
この気分は一体なんなんでしょう?
主人公が住んでいる場所が家の近所という事もあったかもしれないです。
そういった親近感にホロッときたのかもしれません。
でもそれだけじゃない。音楽が好きな音楽だったということもあるかもしれない。それもあるでしょう。けれど、本当にそれだけじゃない。あそこにいる役所広司さんのいる部屋。あれはうちの部屋なんじゃないかと錯覚させるような。あの車に乗った自分が本当は自分なんじゃないかと思ってしまうような錯覚を与えるようなそんな寡黙な主人公に寄ったカメラワーク。映画全体を決めるその景色の佇まい。
本当に完璧でした。
オープニングだけでご飯が100杯くらい食べられそうです。
この映画はストーリーとしては何もない映画です。
ネタバレということもないでしょう。
おじいさんがトイレの清掃を毎日やっているというだけの映画です。
ただ、主人公のおじいちゃんの所作をずっと丁寧に見るだけの映画です。
そのためにこの映画は存在していると言っていい。
そんなやついるかよ。って思うかもしれないけれど、世の中にはいるんだよ。
ちゃんとこういうおじいちゃんいるんだよ。
そんなことを思いました。
この映画で色んな人が色んなことを考えるでしょう。
本当にいい映画です。ありがとうございました。
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