PERFECT DAYSのレビュー・感想・評価
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劇場に3回足を運びました。
久々に何度も劇場に足を運ぶ作品に出会いました。
10代の方や底の浅い生き方をしてる人には何も響かないかも。自分も深い経験を積んでるとは言いませんが若い頃だとどうだったのかなとは思います。
それでもきっと20代の方でも思慮深い生き方をして来た人なら響くでしょう。
見る度に角度を変えて堪能する事が出来ました。
主人公平山の変化を嫌い毎日を淡々と生きて行く姿。その中にも葛藤があり人間誰もが平凡でありたくとも何かしらアクシデントがありそれに向き合い生きて行く。人生を考えさせられる時間を過ごす事ができる作品でした。
#02 すべてがパーフェクトじゃないけど
『101回目のプロポーズ』みたいに同じ日を何度も繰り返すみたいな映画。
実は普通の人間はそんな日々を送っていて、その中で小さな幸せを見つけるために生きているのかもしれないと気付かされる映画。
役所広司さんのセリフの多さで相手との距離感がわかる。
富山に来て観た映画の中で1番座席が埋まってた映画。
美しいものは絶望を遠ざける
15年以上前に読んだ子育ての本に「美しいものは絶望を遠ざける」という言葉があり、ずっと覚えていたのだが、まさにそれを体現したような作品であった。心に染みる音楽を聴き、空を見上げ木漏れ日に目を細め、生きる力を回復させる。作品に映画らしいスペクタクルはないが、ないことに徹するのもまた映画であろうと思った。
物語の舞台として東京の最新鋭の公共トイレが次々と登場し、これはトイレの宣伝なのかと思いながら観ていたが、本当に東京の公共トイレを刷新するプロジェクトが発端となっているとのことで、その意外な繋がりがまた面白いと思った。主人公が日々掃除するトイレがこれほどスタイリッシュでなければ、物語はこうも美しくはならなかったはずで、綺麗な公共トイレは世界を救ってくれる気がした。
時に涙ぐみ、薄笑いもある日常、それと背景、孤独
不思議と退屈せずに淡々と観れる映画でした。60〜70年代の洋楽ファンならさらに楽しめるでしょう。キャストも端々まで豪華な布陣です。
あと、日本の衛生的な面や治安の良さなどが外国人ならではの視点でクローズアップされているとも思いました。
内容としては、これが幸せなのか不幸なのか観ていても考えてもわからない感じですが、一人でもなにかに繋ぎ止められて生きている様は「パーフェクトデイズ」なのかもしれません。
You're going to reap just what you sow
自分で蒔いたものを君は収穫するだろう
ヴェンダース著「孤独のすすめ」
ヴェンダース著「孤独のすすめ」と言った印象。
ほぼ何のドラマもなく台詞もほとんど無いただ老年の男のルーティンが丁寧に描かれる
必要最低限の事以外何も語られず音楽も無駄に足さない
しかしスタンダード画格の映像の画の切り取りだけが抜群に美しく雄弁に物語る映画
男は木の葉の光と影を見続けているのだ、誰にも知られずに…
時代と逆行する様でありながらも現代の本質をついてる気がしましたとてもいい映画です。
ロールで退席しない様に…
日々訪れる小さな喜びを積み重ねる幸福
あんなにセリフが少ない映像の中でも、表情や動きで表現出来る役所広司さんが何とも素敵です。淡々とした日常の繰り返しの中で、自分の仕事であるトイレの清掃を黙々と丁寧に務める平山さん。そんな何の面白味も無いような日常でも、小さな喜びはいくつも存在します。木々を眺め写真に収めたり、迷子の少年との一瞬の出会い。同僚の幼なじみや女友達との出来事。仕事終わりの一杯。なじみの飲み屋のママの元旦那さまとの会話など。そして姪っ子ニコが家出したことからの日々と、ニコの母である自分の妹との再会。何でもないような出来事の中にも小さな喜びはたくさん有る。そして辛く悲しい出来事の中にだって隙間から射し込む光がきっと有る。そんなささやかな喜びを見い出し日々を生きる事の幸せ。それが今の最高の日々の送り方。そんなことをこの作品から感じ、教えてもらいました。麻生祐未さんの妹との会話で「ホントにトイレの掃除やってるの?」。きっと平山さんはそれまでとは全く違う生き方を今はしているのだろうな?そして今の日々がきっと大好きなんだろうな?そんなことを考えました。別れ際妹を抱きしめた後の平山さんの涙は、心ならずも疎遠になってしまった家族への溢れる想いだったかな。素敵な映画でした。
静かな時間
白みゆく空、缶コーヒー、磨かれるトイレ、
木漏れ陽、銭湯、古本、フィルムカメラ、
密やかな○✕、首都高、都会のあらゆる時間、
関わる人々、心持ち一つで余りに美しい。
過去とは完全に別世界に住みながら、心は対峙も忘却もしない。自然に任せている。
一つの生き方のサンプルのようだった。
そのやり方はとても尊かった。
満ち足りた日々、満ち足りた時。我々は一本の木。
作品を鑑賞中、私自身がとても満ち足りた気持ちになった。それは主人公の日々の生活を見ていてそう感じ取れたから。
主人公平山は一日に数億円の金を動かすトレーダーでもなければ、社員数千人を抱える企業の経営者でもない、ただの公衆トイレの清掃員である。
それはけして誰からも尊敬されないし、むしろ蔑まれるような仕事、いやそれどころか彼の存在すら人々は気にも留めないだろう。
彼はもはや人々の目には周りの風景と同化した存在であるのかもしれない。その証拠に子供を保護した彼に会釈さえしない母親。
彼は風景の一部なのだ。それは風景になじむように作られた多種多様なデザインの公衆トイレの様に。あるいは公園に当たり前のように植えられている木々のように。誰もが気にも留めない存在。
しかしそれは彼にとっても居心地の良いものだった。彼の世界とそれ以外の世界とはけして交わることはない。彼にとっても周りは風景でしかないのだ。無用な干渉をすることもない心地よい距離感を保って彼は自分だけの世界で生きている。
日が昇る前の早朝、木々の葉が風でゆれる音、竹ぼうきが路面をこする音で目が覚める。植木に霧吹きで水をやり、缶コーヒーを飲む。現場へ行くまでの車内で音楽を聞き、仕事は完ぺきにこなす。昼休みはお気に入りの場所で木々の枝や葉が風にゆれる瞬間をカメラに収める。銭湯が開くまでには仕事をきっちり終えて湯船につかる。行きつけの地下街の店で晩酌、そして寝床で読書をしつつ就寝。
同じことをただ繰り返すだけの毎日、判で押したような生活、それはまるで日が昇り日が沈むような自然の営みを思わせる。
他人から見れば単調でつまらないように見える彼の生活は充実していた。音楽や読書、そして自然の営み、木々の葉が風に揺れる時のささやき、虫たちの声、生きとし生けるものを毎日のように堪能する彼の日々。忙しさの中で我々がともすれば見過ごしてしまっているものを彼はひとつひとつ感じ取っていた。
周りには気にもかけられないホームレスの姿をしたダンスをする木の精霊も彼の目には見えていたし、誰も気に留めないメモ書きを見つけては相手も知れない丸罰ゲームに興じる。それはとても充実した日々。
彼はけして世捨て人というわけではない。彼にも年齢を重ねた分だけ過去があった。時にはその過去が突然絡みついてくる。
思わぬ姪との再会から過去との邂逅。再会した彼の妹は兄の今の生活を見てただ憐みの目で見つめる。彼女にとっては兄は負け組の哀れな人間にしか見えないのだろう。別の世界の人間からはそう見えても仕方がない。
思えば我々はそれぞれが一本の木なのだ。けしてそばにいる木とは交わることはない。そこにのみ立つ一本の木。それぞれが自分の世界で生きている。だからほかの木の世界はわからない。
だが、そばにいる木同士が交わる瞬間がある。互いの葉を重なり合わせ風に揺られて木漏れ日を作る。その木漏れ日はけして同じものはない、唯一無二のもの。まさに一期一会。
たまたま出会った平山と友山はお互いの影を重ね合わせる。そして影踏みをする。お互い同じ年齢を重ねてきた者同士の木漏れ日のような一瞬の交わり。
けして交わらない者同士が一瞬だけの木漏れ日を作る、これを繰り返すのが人生なのかもしれない。
きっと平山は自分のいた世界から逃げ出したのではなかった、自分の世界を見つけたのだ、唯一無二の世界を。彼をうらやましく思った。日々生活に追われて蟻のように生きてる自分と重ね合わせてなんと人間らしい生活なんだろう。ほどほどに稼ぎほどほどに食べていければいい、日々自然の息吹、町の息遣いを感じつつ、音楽や文学に浸る、これこそ人間らしい生き方と思えた。
ラストの役所広司さんの笑い泣きには痺れた。男優賞も納得。映画館で映画を見る楽しみを味合わせてくれた作品。
と同時に映画館で映画を見る弊害も。隣の席の高齢夫婦、とにかくマナーの悪さに集中力をそがれた。定期的にスマホを見る、私語の多さ、高齢なのにポップコーンガサゴソ食い、流石に途中で注意しようと思ったが楽しい映画デートが台無しになるだろうからと飲み込んだ。年齢を重ねてるぶん他人の迷惑を少しは気にかけてもらいたい。自分たちの世界しか見えてないのも困りものだ。
沁みるいい作品でした。
役所さん演じるトイレ清掃員、平山の1日を
淡々と描いているけど、光の捉え方、朝陽や木漏れ日、
建物の明かり、玄関灯など日常のありふれた風景が
とても美しく撮影されていて、素晴らしかったです。
あまり喋らない、平山の言葉、とても心に残りました。
特にお互いの影を合わせるシーンで、平山が発する言葉が、
すごく心に響きました。
ラストシーンも良く、何も抱えていない人はいないのではないかと
思わせるようで。
いい作品を観られると、とてもいい気持ちになれますね。
数は少ないけど。
ちなみに私が鑑賞した時は、ほぼ満席でした。
幸せとはどんな状態を言うのだろうか
THE TOKYO TOILETというプロジェクトは世界で活躍する16人のクリエイターが渋谷区の17ヶ所の公共トイレを設計するプロジェクトだ。
そのプロジェクトを主宰しているのはユニクロの柳井社長の次男である同社取締役の柳井康治氏である。
この映画もこのプロジェクの一環でトイレを映像に残す発想から始まっている。
柳井氏とクリエイティブディレクターの高崎卓馬氏がセミドキュメンタリーの構想を考え、監督としてヴィム・ヴェンダースに声をかけたことが今作に繋がった。
長い前置きだが、柳井氏と高崎氏がいたからこそ、この傑作が生まれたので紹介する。
両氏は今作のプロデューサーでもあり、高崎氏は脚本も執筆している。
主演の役所広司をキャスティングしたのも両氏だ。
この作品は柳井氏、高崎氏、ヴィム・ヴェンダースの3人による化学反応により傑作となった作品なのだ。
そしてパーフェクト・デイズは日本映画だ。
ヴィム・ヴェンダースが監督しているのにしっかりと日本映画になっているところに驚く。
監督は日本映画好きだし、小津安二郎をリスペクトしている。
ただ、日本人を使い日本語で作られている事を考えると奇跡と思える。
主人公平山(役所広司)はスカイツリーの見える下町の木造2階建てのアパートで一人で生活し、渋谷区のTHE TOKYO TOILETの清掃をする仕事をしている。
カセットテープで古い音楽を聴き、夜は古本屋で探した好きな本を読みながら眠る。
公園で見つける木の芽などを見つけては、家で鉢植えにし育ててもいる。
仕事終わりには銭湯に行き、酒場で飲み食いするのが日課だ。
彼はこの日常を規則正しく繰り返し生活を送っている。
彼のこれまでの人生、なぜこの仕事をしているのかの説明は一切無いが、規則正しい日常を乱す存在として、家族とうまくいかない姪のニコ(中野有沙)が平山のアパートに転がり込んでくるところからドラマが動き出す。
平山の生い立ちやどんな人生を歩んできたのか、回想やセリフではなく映画のシーンでそれを想像させる監督の手腕に唸る。
時折平山の生活とオーバーラップする木漏れ日の映像が象徴的。
平山がフィルムカメラで毎日撮る大木の木漏れ日のモノクロ写真など、同じ葉っぱの重なり具合や時間、光で全く違う表情を見せる木漏れ日を愛でる日本人の生活美。
毎日、同じ所作を繰り返しても生き物は育ち、微妙な変化を感じながら変わらず生活できる幸せを表現しているようにも見える。
田中泯、石川さゆり、三浦友和らが演じる平山を取り巻く人々の印象が、少ないシーンながら強烈に残る。
そして思う。平山は一人で静かに暮らしているがたくさんの周りの人との関係性は豊かだ。
三浦友和とのエピソードは強烈な余韻を残す。
そして、最後の平山の顔は人の人生をワンシーンで表現した映画史に残る名シーンだ。
ヴェンダース監督が78歳にして新たな代表作を作ったことに敬意を表す。
そして、カンヌ国際映画祭で役所広司に贈られた男優賞は納得。
彼の習慣
淡々と何もなしには生きては行けない。誰かに出会い、何かが起きる。生きていると今までの積み重ねのような習慣も崩れるようなことが多く起きる。
この何もない日常における崩れのようなものに対して平山は嫌がることも落胆することもなく向き合っている。投げ出すこともできる数々の出来事に対して向き合っている。それを感じた時、彼の持つ多くの習慣は固く積み上がっているものではなく、彼自身に身についた柔らかい彼自身のように感じた。言い換えるとすれば、習慣はは作るのではなく日々の出来事が作り上げる。
ただひたすら生きる
この映画は東京の公衆トイレ清掃員の日常が描かれている。けしてドラマチックな展開ではない。よくある大都会の安アパートの一室で夜明けと共に起き、顔を洗い、植木鉢の木に水をやり、アパートの前の自販機で缶コーヒーを買う。いつもの道を走りながら昔、流行した曲をカセットテープで聴く。いつもと同じ公衆トイレを巡回清掃し、昼食時間にいつもの神社の境内の木漏れ日を撮影する。また巡回清掃をし仕事終了。3時頃に銭湯に行き、安飲屋で一杯引っ掛け、帰りにフイルムカメラの現像に行ったり、中古専門本屋で小説を買い、寝るまで部屋で読書。そして寝る。次の日、いつもの時間に起き、昨日と同じ事が繰り返される毎日。実に平凡だ。考えてみれば私たちの人生の98%は平凡な毎日のルーチィンで成り立っているのではないだろうか。今独居老人が社会問題になっている。しかし主人公は平凡な日常の中で植木鉢の細い木の葉がゆっくり成長して行くのようにそうした小さなの変化に喜びを感じ、ただ毎日をひたすら生きる生活に幸せを感じている。監督はこの映画を通してこの事が言いたかったのではあるまいか。
繋がらない世界の片隅で…
歌 本 樹木 家族…
繋がらない世界で、ヒトは何故、それぞれに惹かれるのかしら。
繋がらない世界で、揺らめく影。
影は重なることで、世界はどうなる?。
何も変わらない?。
変わらなくて、いいの?。
気づかないだけで、変わっているの?。
私達の生き様なんて、木漏れ日みたいなもの。一瞬で、移ろいゆく。形に遺そうとしても、ただ、逆光するだけ。
それでも、陽は昇る。
だとしたら…。
喜びも哀しみも、総て陽光と共に…。
皆様にとって、パーフェクトな日々が訪れますように…。
公衆トイレ清掃員の日々の物語。 渋谷界隈の公衆トイレの独特な外観、...
公衆トイレ清掃員の日々の物語。
渋谷界隈の公衆トイレの独特な外観、
住まいは下町(おそらく墨田)で気取らぬ日常。
京島の銭湯、浅草の地下街で一杯、など。
ヴェンダース監督、ドイツ人ですが、目の付け所に驚きです。
主演の役所さんの演技、言葉を極限まで削ぎ落とし、日々の抑揚を表情と所作で見せる、じわじわ凄い見ごたえでした。
日本語の "木漏れ日" に着目する西洋人さん、ここ数年で増えていますね。
こわいくらいに評価が高いな。。 自分はこんな生き方できないと思った...
こわいくらいに評価が高いな。。
自分はこんな生き方できないと思った。
どう見られてるか気にするし、人と繋がってたいし1人で死にたくないし、トイレ掃除もしたくない。
街のトイレはあんなにきれいじゃない。
生きる事も同じで、あんなにきれいじゃない。
強すぎる主人公
私はあの人生じゃあ満足できない
せっかく生きるんだから。
あったかいお家と可愛い犬!たまにお洒落して出掛けたい!
そのくらい望んでもいいでしょ?
生きる事は大変なんだから。
見終わると日常が輝いて見える
非常に静かな作品でした。
この作品を見終わった後、映画館から出てまっすぐ車が停めてある駐車場に戻ろうとはせず、天気も良かったので、15分ほど散歩した。不思議と映画を見る前よりも日常が輝いて見えた。楽しい散歩ができた。
最初、役所広司の演技が日常を描いているにもかかわらず、やや緊張感があったため、演技のプランがこれで合っているのかと不安になったが、見終わった後はこの演技で正解だと感じた。
主人公のあまり多くを語らないが、社会に流されることなく、自分の軸と好きなものを大切にして生きていく姿を見て励まされた気がした。
職場が普段注目されない公共のトイレということもあり、東京を別の切り口で見ることができ面白かった。そして都会の中の生活を描いているものの、自然を移すシーンも多く、見ていて癒された。
昨今のエンターテイメント作品に溢れている、この作品面白いでしょう?といった観客に対しての押し付け感がなく、どう解釈し、どう受け取ってもらっても大丈夫。という作品のスタンスが心地よく感じた。
何か起きそうで起きなかったり、回収されそうな伏線が回収されなかったり、意味ありそうなことがなかったり、また出てくると思ったら出てこなかったり、私たちが普段日常の中でよく起きる出来事が作品の中にちりばめられており、共感できた。
この映画の主人公のように、人の目を過度に気にしようとせずに、自分が好きだと思える環境を作り、生きていけたら幸せになれるかもしれないと感じた。
静かで起承転結がなく、伏線も全て回収されるわけではなかったが、見終わった後の充実感があり、心豊かになる作品でした。
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