劇場公開日 2023年12月22日

「幸せは自分で決める」PERFECT DAYS とろろさんの映画レビュー(感想・評価)

4.5幸せは自分で決める

2025年3月11日
iPhoneアプリから投稿
鑑賞方法:VOD

素晴らしい作品でした。
余白のある映画は、映画を通して自分のことにも目を向けることができるので素敵です。

"こんな今が嫌だ、変わりたい!"というのも、人生のモチベーションとして素晴らしい。

でもイヤごとばかりに感じていたら、全然幸せじゃないよね。

平山さんの「パーフェクト」=幸せな1日。
いやいや起きる朝ではなく、1日が始まる幸せを噛み締めている。

朝のカフェオレ(ブラックじゃないのがリアル)
仕事へのこだわり
木漏れ日の入るお気に入りの場所
カメラ
植木への水やり
銭湯、居酒屋、本屋、スナック

平山さんにとっての"perfect"なルーティンが自分の日常にも確かにある。

無口な人として前半は描かれているけど、決してそうではなく、ただ不要なことを話さないだけ。コミュニケーション能力は大いにある。

後半はそんな、平穏で完璧な日常が外的な刺激によって、掻き乱されていく。

姪との再会。
家族との交流が幸せそう。
「世界は1つの様に見えるけど、たくさんの世界がある。にこのお母さんと僕の世界が繋がらなかっただけ」

そうなんだと思う。
ひとりひとりの世界があって、交わることがあって、それはすごく嬉しかったり幸せなんだけど、絶対に交われない世界観もある。

お姉さんとの再会。
最後の抱擁にドキッとした。
平山さんの切なすぎる表情。

お姉さんも嫌味の様な言葉を発しているけど、本当は愛情があってのことなんだと思う。
お金じゃなくて、好きなお菓子を持っていくあたりもすごく思いを感じた。

この場面で重なるのは、スナックのママさんと三浦友和さんのシーン。

こちらもただならぬ切ない表情が印象的だった。

そこから平山さんとお姉さんの間に、ただの家族愛よりも、もっと深い愛情を感じる。

最後のシーンはどういう感情か?
一度見ただけではわからない。

人と触れ合うことで傷つくこともある。
それもまた人生の幸せなのだろうか。

幸せとは一体何なのか。
変わること?変わらないこと?

幸せとその奥にある深い悲しみを感じる、役所広司さんの演技は素晴らしい。

とても"人間"を描いた作品である。

カセットから流れる昔の洋楽が、一気に東京の見え方を変えた。
光と影など、映像もすばらしい。

エンドロールで流れる
"KOMOREBI"の和訳です↓

「風に揺れる葉によって作り出される光と影のきらめきを表す日本語。それはその瞬間に一度だ元気存在します」

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とろろ