「顔を洗う動きに深い味」PERFECT DAYS 今この時を大事にさんの映画レビュー(感想・評価)
顔を洗う動きに深い味
平凡な一日を慎ましく真面目に、そしてふとした風景や人の微笑ましさなに幸せを感じる男。
この物語は字面で読めば、他愛のない行動や感情を文字で伝えることができるかもしれないが、動きや表情で、しかもほぼ無声で心の動きを表せているのは一重に役所広司の人間力あってこそ。
日々の忙しく余裕のない生活の中で、家族への優しさを忘れていたり、部下を労わっていない自分に気付き改めて考え直すものがありました。
サンドイッチ食べながら物言いたげなOLや、カセットを聞いてキスした女、ちょくちょく出てくるホームレス、発達障害の男。意味がないのか意味深なのか分からない登場人物が時折物語をつなぐが、新緑や夢を含めてその一つ一つが彼の一日一日を彩る出来事であり、彼はその生活に満足しているのだろう。
ただ最後の涙の意味が難しい。皆さんはどう思いましたか?
私は、過去の父との確執がトイレ掃除を生業にするに至った経緯と繋がっているのだろうなと思いました。
どうかその涙が、自分の今の境遇に後悔するものでないことだけを願います。
コメントする