「まるで樹木のような主人公を定点観測することで気づく映画ならではの「余白」の大切さ」PERFECT DAYS スモーキー石井さんの映画レビュー(感想・評価)
まるで樹木のような主人公を定点観測することで気づく映画ならではの「余白」の大切さ
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役所広司演じる主人公平山は寡黙で穏やかな「樹木」のような人だ。
仕事は実直。周りに対する暖かさもあり、自分自身に何が必要で何が要らないかを
知っている稀有な人物だ。
彼の視点を通して見えるものは我々にとっての「新鮮」であり、彼自身もまた日々を「新鮮」なものととして生活を営んでいる。
「変わらないものなんてない」
劇中終盤に登場する病に侵された人物に放った励ましのセリフに
思わず涙がこぼれた。
そして、この作品は昨今流行りの「伏線回収」や
平山の過去を穿り返すような無粋なことはしない。
まるで木漏れ日のように「光」を当てすぎない本作は
映画とはやはり「余白」という影の部分があるから素晴らしいのだなと感じる。
文明の発展であらゆるものが「光」に照らさてしまう現代。
スクリーンという木陰で平山の生活を覗きこむことで
ホッと一息できること間違いなしである。
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