「ノイズ」PERFECT DAYS のんさんの映画レビュー(感想・評価)
ノイズ
前半は彼の生活を観ていると、自分がいかにノイズまみれに生きているか、ということを痛感した。
わたしだって中学生くらいまでは、音楽と小説を楽しみに、好きなものをじっくり味わいながら生きていて幸せだった。
彼の小説や音楽、写真を楽しんで味わっている姿がとても印象的。
わたしの今はいろいろなことが気になって、無駄にスマホを見てしまうこともあるし、そんなに好きなことじゃないことになんだかんだ時間を使ってしまっている。
自分が良しとすることだけでなく、世間の目、周りからどう思われるか、世の中で良いといわれているものを好きでもないのにやろうとしたりしている。
そんなことを痛感していた。
彼だってノイズだらけの街、渋谷で働いているが、自分のペース、自分で選んだ生活をしている。これは丁寧な暮らし、ともやや違う、ただ彼が彼自身のためにやっている、という感じがとてもいいな、と思った。
ところが中盤から、同僚や、突然現れた姪など、彼の淡々とした穏やかな生活を乱す。
観ていると、どうか彼の生活を邪魔しないでくれ、と思ってしまったが、彼はその時だけ少し怒ったりもすることはあるが、決して変わらない。
人を避けるわけでもなく、関係をつくろうと意気込むのではなく、ただその時のその人と向き合う。
わたしは、木漏れ日の意味もよく知らなかった。監督は日本のことが好きで、木漏れ日からインスピレーションを受けたのかなあ。
台詞も少なく、説明も少ない。
その余白がそれぞれに想像したり、いろんなことが考えられるところが素敵。
最後の表情、笑っているのか泣いているのか、その時々の自分の状況で感じ方が違うのかも。役所広司さん、やっぱりすごいなあ。人生は笑顔になること、泣きたくなることどちらもあって、それでパーフェクトであるってことなのかな。5年、10年置きくらいのスパンでみかえしてみたい。
自分が日々いかに色々詰め込み、誰に向かってかわからないけど充実しているように、みんな、と同じであるようにしているんだなと思った。
もっと自分のペースで生きよう。