「日常生活のASMR」PERFECT DAYS pinsukeさんの映画レビュー(感想・評価)
日常生活のASMR
印象に残ったのは、日常生活の様々な音だ。
箒の擦過音、車のドアを閉める音、鳥のさえずり、缶コーヒーを開ける音など、それぞれが立っているように、個人的な感覚なのかもしれないが印象に残った。
もしかすると、ストーリーに衝撃的な事件が起きないぶん、そちらに気をとられたのかも知れない。
男はひとりではあるけれども、朝、空を見上げるその顔は孤独の陰を宿してはいない。あるがままの世界をあるがままに受け容れている。
ささやかな歓びや、悲しみ、戸惑いや腹立ちの感情を抱えながらも、くらべて得られる幸福とは違う場所で彼は生きている、木々の陽だまりのなかで。
観たあと、余韻に浸っていたくてエンドロールもすべて終わるまで座っていた。ほかの人達もほとんどそうしていた。
いい映画だった。
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