「いろんな生き方があるけど、これはひとつの理想の生き方」PERFECT DAYS p.f.nagaさんの映画レビュー(感想・評価)
いろんな生き方があるけど、これはひとつの理想の生き方
いつもの日常を充分と感じつつ口角を上げて過ごす。目の前のことをきちんと果たす。そして、出会った人にやさしくする。ひとつひとつのことは誰でもできそうなことだし、安アパートに住むレベルなら誰でも手が届くこと。でも、主人公平山のような生き方はなかなかできない。その意味でPERFECT DAYSというタイトルは、なるほどと思った。
今は禅の修行僧のような生活をしているけど、そこに至る人生にはいろいろことがあり、悲しいこともあったのだろうという深みも感じた。平山の妹を抱きしめた後の涙や、エンディングの涙目は胸に迫って来る。涙の理由をあえて説明しないで、観客の想像に任せているので、深みが出ている気がする。
場面場面でスカイツリーが写される。お金や評判を気にする普通の生き方を象徴しているのだろうと思った。平山のすぐ隣にもそういう世界があるけど、平山はそっちには行かない。同僚のタカシのような、目の前のことをきちんとやらずに欲求はあるという人がいても、そっちに流されない。缶コーヒーやカエデの若木などの小さな幸せを楽しむ。「こっちは誰でもできますよ」「目の前の普通ことを充分と思うこと」ということなのかもしれない。
男優賞の役所広司はもちろんだけど、姪のニコ役の中野有紗、タカシの交際相手役のアオイヤマダ、タカシ役の柄本時生らも良かった。
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ひきこまれました。でも、自分はどうしても他人と比較してしまったり、煩悩が消せません。ひとつの理想としての良い映画でした。
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演者さんたち、それぞれ自然な立ち居振る舞いで、いかにもあるあるな日常だから、それに引きずられない平山にはひきこまれましたね。