「クリスマスに役所広司に逢いに行く…⭐︎」PERFECT DAYS ☆ムーミンさんの映画レビュー(感想・評価)
クリスマスに役所広司に逢いに行く…⭐︎
カンヌの主演男優賞をとってから、いつ公開されるかと楽しみにしていた作品をようやく鑑賞。
おそらく台東区あたりのオンボロアパートからトイレ掃除に向かう役所広司演じる平山の
「パーフェクト」と言えるルーティンの日々を淡々と描いていく。
冒頭、出勤のシーン。
(玄関?)ドアから出て、まず空を見上げる。
そして、これまたボロっちい自販機で缶コーヒー(やはりBOSS(笑))を買って軽自動車に乗り込んで
最初の聞くカセットテープ(カーステレオがカセット式)が、アニマルズの「朝日のあたる家」!
東京の夜明けと相まって渋い。
ここですっかり映画の中。
全編に渡って洋楽が流れるが(日本の曲も一曲あり)、知らない曲でも何だか引き込まれてしまう。
毎日のルーティンの中の何気ないエピソード。
銭湯、浅草の一杯飲み屋、石川さゆりがママのスナック。
(石川さゆりが日本語で「朝日のあたる家」を熱唱するのは笑ってしまった)
そんな全てに丁寧に向き合っているような平山が愛おしく感じる。
大きい動きがなく2時間余りの映画なので、隣の女性はオヤスミされていた。
しかし、やはり映像が美しく 空と木々の木漏れ日が何度も描かれて
それに見入ってしまった。
ラストシーン、仕事に向かう平山が車の中で何か込み上げて来るものに本当に
本当に悲しいような、それ以上に幸せそうな泣き笑いの表情にこの映画の
全てがあるように思う。
…で、この作品がパルムドールではなく、主演男優賞なんだと改めて感じた。