「世界に生きている全ての人の姿に重なる物語。(1ヶ月後の再鑑賞を追加して)」PERFECT DAYS 星組さんの映画レビュー(感想・評価)
世界に生きている全ての人の姿に重なる物語。(1ヶ月後の再鑑賞を追加して)
素敵なロマンスはない。
友情も出会いもない。
しかし普通の人間はいる。
その人は朝起きて、支度をし、仕事にゆく。
仕事が終わり、自分の時間を楽しみ床に着く。
そして次の朝が来て、支度をして仕事にゆく。
毎日その繰り返しだが、幸せに満ちている。
眺め、発見し、生きがいを感じる主人公。
主人公の平山は自分のペースで生きている。
いつもと何かが違うと、ちょっと窮屈に思う。
平山は何故このような生活をしているのか?
カセットテープで音楽を聴く1980年前後の世代、
そこで平山の時間は止まったままなのか?
淡々と進む物語の中に、明確な答えはない。
感じること、見えること。
それは、世代や性別、職業に関係なく、
観ているみんなが「平山」なのだと気が付く。
彼と同じ毎日を送っていることに気が付く。
楽しみや悲しみを持っていることに気が付く。
彼の後ろ姿は自分の後ろ姿なのだと気が付く。
ラストシーンの顔。
彼の心にある感情。心に刺さった傷跡。
家族のこと。仕事のこと。求めるもの。
幸福感。喪失感。重ね合わせた自身の姿。
平山の夜。
誰もが感じる夜。
※
「再鑑賞後に … 」
この作品と長く付き合えるのか?
そう思い、再鑑賞をしてみた。
見えなかった部分が浮き上がり
前回よりも強く「そばに在るべき存在」
そう感じるようになった。
特に「小さな音」は「光の揺らぎ」と同等に
そこにあり、大きな存在を感じた。
※