劇場公開日 2023年12月22日

「世界に生きている全ての人の姿に重なる物語。(1ヶ月後の再鑑賞を追加して)」PERFECT DAYS 星組さんの映画レビュー(感想・評価)

5.0世界に生きている全ての人の姿に重なる物語。(1ヶ月後の再鑑賞を追加して)

2023年12月25日
PCから投稿

素敵なロマンスはない。
友情も出会いもない。
しかし普通の人間はいる。

その人は朝起きて、支度をし、仕事にゆく。
仕事が終わり、自分の時間を楽しみ床に着く。
そして次の朝が来て、支度をして仕事にゆく。
毎日その繰り返しだが、幸せに満ちている。

眺め、発見し、生きがいを感じる主人公。

主人公の平山は自分のペースで生きている。
いつもと何かが違うと、ちょっと窮屈に思う。
平山は何故このような生活をしているのか?
カセットテープで音楽を聴く1980年前後の世代、
そこで平山の時間は止まったままなのか?
淡々と進む物語の中に、明確な答えはない。

感じること、見えること。

それは、世代や性別、職業に関係なく、
観ているみんなが「平山」なのだと気が付く。
彼と同じ毎日を送っていることに気が付く。
楽しみや悲しみを持っていることに気が付く。
彼の後ろ姿は自分の後ろ姿なのだと気が付く。

ラストシーンの顔。

彼の心にある感情。心に刺さった傷跡。
家族のこと。仕事のこと。求めるもの。
幸福感。喪失感。重ね合わせた自身の姿。

平山の夜。
誰もが感じる夜。



「再鑑賞後に … 」
この作品と長く付き合えるのか?
そう思い、再鑑賞をしてみた。
見えなかった部分が浮き上がり
前回よりも強く「そばに在るべき存在」
そう感じるようになった。

特に「小さな音」は「光の揺らぎ」と同等に
そこにあり、大きな存在を感じた。

星組