「ありふれた日常のルーティンの中に見出だす幸せ」PERFECT DAYS 梅じんの相棒さんの映画レビュー(感想・評価)
ありふれた日常のルーティンの中に見出だす幸せ
まず驚いたのはスクリーンが4:3だったこと。
そして役所広司が一切言葉を発しないこと、延々日常のルーティンが続く。
それでも視界に入る景色の変化に幸せを見出だす。スマホ片手に歩く現代人にもっと胸を張って上を見てみなよと言われてるようで、毎日繰り返しの日々の中にも些細ではあるけれど発見がありそこに喜びや幸福感が感じられる、それを感じることが人間の営みのなかで大事だよと受けとりました。
気に入った古い曲をアナログなカセットテープの音が好きという若い女と、スマホのサブスクで探そうとする子の対比も面白い。
寡黙で穏やかな人が起きて寝るまでのルーティンを崩されたときに、戸惑い苛立ちを見せるのも人間なんだと。
そんな営みも誰もが終わりを迎える。その時になにを思うのか、会いたい人は、会って何を伝えたいか、生きるってどう言うことなのか、悩むってなんの為なのか、人との関わりが生きる上で面白味を与えてくれるって教えてくれます。
自分一人で楽しめる本や音楽、けれどそれを共感する人に出会うことも幸せなんだと。
この映画はそんな人生経験を沢山積んできた人ほど共感できるのではないかな。
私も半世紀を生きてきてこの映画を理解できたフリができて嬉しい。
小料理屋の女将の歌は当たり前だけど上手いなと恐れ入りました。
映画の帰り角ハイボールが飲みたくなって買って帰りました。