「さすがの巨匠(マエストロ)」エドガルド・モルターラ ある少年の数奇な運命 TWDeraさんの映画レビュー(感想・評価)
さすがの巨匠(マエストロ)
本作公開週、GW狭間の平日サービスデイのヒューマントラストシネマ有楽町の午前回の客入りはまあまあで、全体的に年齢層高めです。
イタリアの巨匠マルコ・ベロッキオ作品と言うことですが、私は同監督の旧作を1作品しか観ていなかったため、予習として前日に追加で2作品を配信で鑑賞。結果として、そのうちの1作『シチリアーノ 裏切りの美学』は本作とフォーマットが似ていたため、いい予習になったと思います。
そもそも、1860年頃のイタリア(統一運動の終盤であり、大きな転換期)であったり、その当時における宗教の影響力など殆ど知識なく観ている私には非常に難しい題材。特に状況の理解が必要な前半は集中力が要りますが、中盤以降の展開はドラマチックで目が離せず楽しめます。というのも、本作、史実をもとに作られたとありますが、その背景としての当時イタリアにおける「地政学的事情」と「宗教(法)」を除けば、現代的にも置き換えられる普遍性があり全く特殊性や古さを感じません。さらに、そのドラマを惹きたてるファビオ・マッシモ・カポグロッソの劇伴がまた効果的で素晴らしい。世界観も含めて演劇でも楽しめると思える脚本と演出になっています。
正直に言えば、観る前はここまで楽しめるとは思っていませんでした。巨匠(マエストロ)、大変失礼いたしました。もっと勉強いたします。
イタリア史もヨーロッパにおける教皇の位置もあんまりわかってません。でもこの映画がとても強くきました(変な表現ですみません)。だから内容勿論、音楽も映像も含めて重くて大変だが、とてもよかったです。映画として。そして当時の時代を知ることができて。台詞と構成がしっかりしているのがとてもよかった。セリフほぼ無しで雰囲気で、という映画にも良さはあるのでしょうが、苦手かな?