「主役は料理」ポトフ 美食家と料理人 かばこさんの映画レビュー(感想・評価)
主役は料理
「デリシュ!」と似ているようだがぜんぜん違う話。
「デリシュ!」は料理を介して幸せになった男女の話、「ポトフ」は、美食に命をかけたふたりの「同志」の話、だと思う、というか主役は料理のほう。
やたら大げさで詩的な形容で言葉を尽くす人々、女性にひたすら愛を語るオトコ、ミステリアスなオンナ、そして美食の追求、という、外国人が想像するベタなフランス映画のようなフランス映画。フランス人男性以外がこれだったらキザすぎてコメディーになるの必然、とちょっと思った。
冒頭から確信犯的に延々続く料理のシーンから目が離せない。
なにこれ、美味しそう、とずっと見ていたい。
キッチンを行き交う靴音、食器やカトラリーの当たる音、焼く音、煮る音、注ぐ音、音が脳内味覚を全開にして、料理の臨場感で胃袋直撃、作る様と、出来上がった料理と、それをざくざくと切り分けて、大ぶりに取り分けて、フォークで、スプーンで、掬って口に運ぶ、ストーリーはすでにどうでもよく、それだけを見ていれば至福、と思った。
「私はあなたの妻?それとも料理人?」と亡きウージェニーの幻に聞かれて、「料理人」と答えるドタン、これはドタンがウージェニーを料理人と「しか」思っていない、ということではなく、夫婦というより料理という共通の目的に命を掛けたプロフェッショナルな「同志」という認識、それぞれの役割を完璧に果たす、二人で一つの、得難い「相棒」、という認識と受け取りました。それに気づいたドタンはすぐに、目的を果たすための、欠けた部分を得る行動、新しい料理人獲得に出たんだと思います。
突然現れた天才少女の影で浮かばれない体の助手のヴィオレットが気の毒
で、皇太子に出すポトフはどうなっちゃったんでしょうね。
かばこ様
共感ありがとうございます
デリュッシュとの比較が実に的を得ていらして頷きました⭐️
かばこ様のレビューを拝読し
改めてデリュッシュの再鑑賞をいたしました