「緊張感が欲しい映画」落下の解剖学 himabu117さんの映画レビュー(感想・評価)
緊張感が欲しい映画
映画『落下の解剖学』事故か殺人か自殺か、う〜んどっちでもいいかななんて無責任な声が聞こえてきそうな映画。まあ世の中で最も多い殺人の例が、夫婦間という統計もありますので。ただ、鑑賞中も感情移入できないのは、私的世界に終止するからでしょうか。
物的証拠のない犯罪の立証
倦怠期の夫婦。
作家の夫婦。
ただし、夫は泣かず飛ばず。
方や妻は、売れっ子の流行作家。
山小屋で、転落死した夫をめぐり他殺か自殺か事故かを巡っての裁判。
遺書などは無し。
夫は、売れっ子の妻に対して嫉妬心があり。
事故をきっかけに盲目となった一人息子の自己の責任を妻に。
なかなか難しい夫婦関係のようで。
さらに、彼女のセクシャリティーの問題も絡み。
夫が邪魔になったのかとも。
疑えば、きりがない。
そんな展開。
物的証拠のない事件の難しさ。
裁判の場面が、1/3を占めるだろうか。
退屈になりがちな場面ですが。
まあ、なんとなく、引き込まれるまでは行かないですが、鑑賞できます。
しかし、状況証拠だけですから。
立証は、難しいですよね。
検察官の作るストーリーも、何度も聞かされると真実かなと。
このあたりが、冤罪を生む原点かな。
争う方も、そうだったかななんて気になってしまうでしょうから。
とくに、拘置所などの閉鎖的空間で、味方もいない場面だと。
ただ、今回は裁判ですから、弁護士はいます。
有罪無罪どちらでもいいやと無責任な気持ちに。
結局、ことの発端は、夫婦間の問題ですから。
別に興味ないし。
なんて言ったら、見も蓋もないのですが。
それに、転落する山小屋の3階という中途半端な高さ。
結局1階の東屋に頭部をぶつけたのが致命傷。
だけど、自殺なら他の方法を選ぶのでは。
わざわざ、一階の屋根の部分めがけて飛び降りたんでしょうか。
そのあたりは、映画では、話題にもならなかったな。
裁判の後半では、どうも父はうつ状態にあったのではと。
そして、息子との最後の会話、自殺をほのめかす。
この証言が、決定打となり無罪となるのですが。
お話としてみると、あまり興味が湧いてくる展開ではなかったですね。
しつこいようですが、夫婦間の揉め事に興味はわきません。
それに、息子との最後の会話が無罪の決定打というのも。
事故の可能性も否定できないですからね。
状況証拠だけですからね。
このあたりの判断は、見た方の考えにおまかせ。