「こういうの、ダメじゃない?」落下の解剖学 ドラゴンミズホさんの映画レビュー(感想・評価)
こういうの、ダメじゃない?
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本筋というかドラマのすり替えだろ?
●冒頭は緻密にミステリーを展開させて良かった…が、謎を回収しないのはダメだろ。
あそこまで謎で引っ張っといて、あれはない。
目に障害がある息子の証言がキーになるようにふられて、あっと驚く展開を期待してしまうのだ。
ところがドラマの本筋はそこにはないと言わんばかり映画は終わる。そこに注視していたことがバカみたいだ。観客は意外なオチを期待していたのに。
●誰の成長譚かもわからない。母親の無罪になった理由もわからない。
最初に謎を提示されたから、登場人物の葛藤が本物か虚偽かわからないからだ。
母親の葛藤は本物か?父親の葛藤が本物か?息子の苦悩は?
最後まで心情的な葛藤が虚偽の可能性を残し、真実の心の葛藤とは思えない。
●ラストに謎が明確になってそれらが回収されると思ったが、グレーのままだ。
例えば息子が父を殺して、母がかばったとか明確にオチをつけてくれるなら、登場人物の葛藤も理解できるのだが。
めでたしめでたし風に終わっているが、母が殺人者の疑惑は消えないし、息子も父の自殺の確信を得てない。結局最後まで真実の心情は見えていない。誰一人。
引っ張るだけ引っ張って、本筋が何だったのかわからない映画だった。
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