「今年度のアカデミー脚本賞受賞も納得の会話劇!(カンヌもグランプリ)」落下の解剖学 お主ナトゥはご存じか2世さんの映画レビュー(感想・評価)
今年度のアカデミー脚本賞受賞も納得の会話劇!(カンヌもグランプリ)
不審死した旦那の殺人容疑で妻が検察側に訴えられて裁判になるんですが容疑者がウソをついていたのが発覚して旦那のせいで息子が視覚障害になる怪我をさせていて容疑者が恨んで居た事実があって更には浮気をしていたけど物的証拠も無いし犯人だという事では無いが裁判のルール上は絶対に不利になります(そんな事をしてる人間なんだから殺したのはこいつだ!って憶測で決めつけがち)裁判で不仲だったから怪しいとか言ってるのも事実だけどそんなの人生の全てでは無いしほんの一部の切り取りでしかないのに恨んで居た!それで片付けられるような単純な話では無いのにルール上はそこが有罪か無罪かの判断に強く関わるから実際に黒とか白とか関係無くて如何に陪審員に良い印象を与えるかが1番重要ってのが怖いです!(リアルに自分にもあり得る話だし) だからこの作品は判決はでますが本当の真相は語られてません!
あとかなり容疑者が不利になる部分があって母国の言葉で話すのでは無いという点でパッと振られた質問で
なんて言っていいのか分からないとか圧倒的に調子悪いですよねこれは!
しかしこんな異常で病的なレベルで作り込まれた脚本の会話劇なんてそうそう無いし(みんな触れて無いのが逆に自分はビックリです)カンヌ映画祭でグランプリ獲得とか!ですよね!当然でしょ!くらいの脚本だと思います。
あと父親の事はあまり語られていないから自殺を本当にしたのか?って部分の判断材料も少ない中で容疑者が有罪か無罪か延々と考えさせられるのが面白かったのとハリウッド的なエンタメ寄りじゃ無いのが良かったし(会話少なくて白黒ハッキリしてるエンタメ寄りの作品だったらカンヌもアカデミーもノミネートは絶対にされてませんね笑)ベタなドンデン返しや真犯人が居たとかでは無く内容勝負に徹してた部分は素晴らしいと思います!(女性が監督で脚本も夫婦でやっていてコロナ禍の時のアイデアと言っていますがコロナで隔離されてる時に夫婦間のいざこざとかを元に書いたんだろうし詳細に至るまでの超クソ細かい会話だったりなるほどって思います!)
最後にこの監督って人を不快にさせたりイライラさせる描写が天才的でオープニングから10分くらいの不快な感じめちゃくちゃ好きです(インタビューしてるのに上の階から観客が会話に集中出来ないレベルの爆音の嫌がらせの音楽と検察側の弁護士の偏見フィルターかかりまくりマンの憶測で犯人と決めつけて高圧的に喋る部分が有り得ないくらいストレスかかって一回本気で大声で叫ぶ寸前まで追い込まれかけたくらいの状態になりましたよ)とはいいつつほぼ間違い無く自分ランキングで年間上位確定レベルの作品でした!
最後に犬が凄いんです!あのシーンとかどうやって撮影したのよ?って思ってたら演技でやってるそうです(死にかけたりする演技をやってるとか本当に凄いです)
あと余談ですが市子の監督がこの作品をめちゃくちゃ褒めていて 市子を作る人なら落下の解剖学めちゃくちゃ面白いってなりますよねって完全同意したところで締めたいと思います!
最近法廷遊戯という裁判モノを見たんですが落下の解剖学と全てが真逆の作りだったのである意味面白かったです。
なるほど、確かに法廷のシーンでここまで夫婦喧嘩はバレるもの?と思いました。構成、本当に見事でしたね。
もちろん、会話を録音する悪趣味も、作家のインスピレーションには必要かもしれませんしね。
妻が同性愛者と浮気とか、夫が子育てにつきっきりとか、時代背景の新しさを感じますよね。奥さんの方が冷静だったりw 裁判ものだし、字幕なかったら詰んでました♪
コメントと共感いただきありがとうございました!
法廷シーンはこの映画において白眉でしたね。手に汗にぎり、生唾何度ものみました(笑)。偏見こじつけ検事と、自分に都合よく事実を切り取る母・・・それに比べて「一番、陪審員の心を動かすだろうフレーズ」を事実と寸分違わず本当に美しく抜き出すとは・・・息子さん賢こすぎて最高です!