「上着を貸してくれ。大事な会合があるんだ。」枯れ葉 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)
上着を貸してくれ。大事な会合があるんだ。
フィンランド、ヘルシンキ。ラジオから流れる多くのウクライナのニュースのおかげで、現代の話だということはわかる。だけどどこか懐かしい。そんな古めかしい町で、無口で常に生活に不満を抱えている様子の二人が出会う。シリアスそうな空気の中にあるズレた間や会話は、なんだかシュール。北欧のセンスなんだろうな、こういうの。時代に取り残されたこの停滞感、日本で言えば北海道のかつて栄えた地方都市のようだ。旅をするにはノスタルジックで萌えるけど、ここで暮らすのはしんどい。恋の仕方だって、レスポンスのいい現代では耐えられないもどかしさ。そのもどかしさこそ、恋の妙味という向きもあろうが、僕にはなんだか物足りない。
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