「青春を再び・・」お終活 再春!人生ラプソディ odeonzaさんの映画レビュー(感想・評価)
青春を再び・・
前作のテーマは人生百年時代だから熟春、結婚50年、金婚式を祝う大原さん一家のドラマでした、結婚50年もう半世紀かと言う大原真一(橋爪功)さんに友人の山田一夫(石橋蓮司)さんが「半世紀は反省期でもある」と指摘するくだりは駄洒落だけど胸に刺さりました。
今回のテーマは「歳をとっても若いころの夢にもう一度挑戦、青春を再び、すなわち再春です」と桃井梓(松下由樹)さんが語っていました。真一さんの再春は野球、千賀子さんはシャンソンでしたね。
前作同様、お終活なんて暗くなりそうなテーマを、若者から老人まで豊富なエピソードを盛り込み、面白くて為になる、元気回復の作品に仕上げる監督・脚本の香月秀之さんは素晴らしい。背景の美しさもひとしお、夫婦で桜咲く修復成った熊本城を眺めるシーンは短いインサートでしたが心に響きました。家族捨てパリに行った父親、五島英樹(長塚京三)と娘の英恵(凰稀かなめ)が亡き母に献杯するシーンで二人が飲むのがかつては芸術家を魅了した「禁断の酒」として知られている、独特の苦みのハーブ酒のアブサンというのも意味深でしたね。熊本城といい、アブサンといい小技の効かせ方に痺れました。
香月監督はクライマックスで大原千賀子(高畑淳子)さんが歌う「愛の賛歌」の訳詞まで担当、有名な越路吹雪さんの歌の訳詞、岩谷時子さんの歌詞と並べても遜色ないもの、まさに才能の豊かさには脱帽です。ただ、高畑さんのシャンソンはパリ祭でも歌っているらしいが、今一、思い切ってクミコさんあたりに吹き替えでも良かったでしょう、ちょっと残念・・。