劇場公開日 2023年6月3日

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「ローバジェットゆえの創意工夫」宇宙の彼方より regencyさんの映画レビュー(感想・評価)

2.0ローバジェットゆえの創意工夫

2023年4月18日
PCから投稿
鑑賞方法:試写会

難しい

H・P・ラブクラフトの『宇宙からの色』の映画化だが、製作は2010年。2019年製作のニコラス・ケイジ主演『カラー・アウト・オブ・スペース 遭遇』を先に観ていたので、それとの比較。ニコケイ版は時代設定を現代に、田舎に越してきた一家を主軸にしていたが、本作では舞台を第二次世界大戦前後の西ドイツ、そして主人公の息子が行方不明になった父親を探しに村を訪れるというあらすじになっている。
ニコケイ版は、もはや彼の十八番となったイッちゃっている演技が炸裂しており、スリラーとブラックコメディが同居したザッツ・ニコケイムービーになっていたが、本作ではヨーロッパの作品らしく、しっとりジワジワと主人公に謎の「色」が忍び寄ってくる演出が特徴。風や雨、時計や床板の軋みといった自然音や生活音が観る者の不安・不快感をさらに煽る。テレビ版『トワイライト・ゾーン』のテイストを狙った感も。ローバジェットゆえにいろいろな点での地味さ、乏しさは否めないものの、全編モノクロというのが「色」の怖さを高めている。

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