「絶対に「嫌な思い」をさせます!という切実な覚悟」ユニコーン・ウォーズ 村山章さんの映画レビュー(感想・評価)
絶対に「嫌な思い」をさせます!という切実な覚悟
全編、悪意と諧謔に満ちたこのアニメーションが、これだけ丹念に、高いクオリティで作られていることに、作り手の覚悟を感じる。可愛いキャラクターに惹きつけられた人たちに満遍なくクソを投げつけるような、全方位に向けられた地獄絵図。キャラが可愛いデザインであればあるほど、戦争、差別、権力、搾取、僻みや嫉みのグロテスクさが際立ち、最終的にはその刃先が観客へと、いや、全人類に向けられてとてつもなく居心地が悪くなる。一切のエクスキューズや息抜きを与えない「嫌さ」のオンパレードは、きっと単なる露悪趣味ではない。ここまでヒドイ現実を描いてもなお、アニメという絵と動きの魅力を加わっていることで、見やすくアレンジしてくれているのだ。「まだまだ現実のほうがえげついですよみなさん」と退路を断ってくれてありがとう。
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