「没入する機会を奪われる感覚」アステロイド・シティ コージィ日本犬さんの映画レビュー(感想・評価)
没入する機会を奪われる感覚
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嗜好には刺さるんだが、眠くなるほど心地よいのが難。
『グランド・ブダペスト・ホテル』『犬ヶ島』『フレンチ・ディスパッチ』と面白おかしく観てきたウェス・アンダーソン監督作品なのですが。
本作の出演者は豪華で見てて楽しく、美術・アートワークは美しく、『フレンチ・ディスパッチ』っぽいパステルカラーに見とれて、といいことづくめで褒めどころ満載なのに……
初めて、この監督作品鑑賞の途中で寝ちゃった。
「舞台演劇」が一つのテーマで、役者が演じてるときはカラー、スタッフや役者が製作してる裏を描くときはモノクロームという視覚効果も悪くないのに。
とにかく、肝心の伝説の舞台劇「アステロイド・シティ」がつまらない。
登場人物の感情表現が薄っぺらで、上っ面のセリフだけ並べた、単調でスローな舞台。
モノクロ(現実の製作舞台裏)に行くと、作中の役者が「演出意図が分からない」っていうんだけど、それは私が言いたかったわ。
宇宙人が下りてくる場面も、コミカルでいいシーンだったのに、その直後に着ぐるみに入っていたスタッフが写されて現実に引き戻され、没入する機会をことごとく奪われたような。
気づくと眠っていた、みたいなことが3~4回。
アンダーソン監督、わざと催眠誘導みたいな構成をやってないかな、これ…?
劇中作家が言うには「目覚めたければ寝る事」だったし。
と疑問を抱いているうちに、終わってしまった。
エンドロールにうっすら入っていた「Wake Up...」の言葉で確信。
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