「偉大な起業家」おしょりん あっさり醤油ラーメンが好きさんの映画レビュー(感想・評価)
偉大な起業家
現代の私達は福井の眼鏡が有名なことを知っていますが、私財を投げうって海のものとも山のものとも分からない眼鏡づくりを一から始めた挙句に銀行から融資を打ち切られてしまった五左衛門さんは、恐らくプレッシャーで夜も眠れなかったことでしょう。自分は裕福な庄屋の跡継ぎなのに、地域の人々のために雪深い冬でも働ける場所を作ろうと頑張る姿は、私にもう一人の偉大な起業家のことを思い起こさせてくれました。
かつてカセットテープで一世を風靡したTDKも、元は「秋田に雇用を、産業を」を目指してフェライトという磁性材料の工業化に取り組んだ地域おこしの先駆け的な会社です。創業者の齋藤憲三氏は2勝98敗の男と呼ばれ、地元・秋田のために何度も起業しては失敗し、やっとものになったのがTDKだったと言われます。2勝98敗はさすがに誇張でしょうが、今や世界的な電子部品メーカーとなったTDKの創業及び、科学技術庁の発足に尽力し初代政務次官になった功績という、あまりにもでかすぎる2勝と共に、度重なる失敗にも負けなかった不屈の精神をもたたえるものなのでしょう。
エンドロールにも登場した増永眼鏡が今も健在であることは喜ばしい一方で、その業績がどれほどなのかは別として、一般的に日本の会社は長く続くけれどあまり稼げないとも言われます。今こそ明治の先人にならい、新たな稼げる地場産業の立ち上げが必要なのかもしれません。
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