「幼なじみの男女。相手の結婚活動を通して自分自身の感情に気付き、新たな関係を築き始めるお話です。民族・宗教・地縁血縁、越えるハードルは多くとも、相手を思う気持ちがあれば大丈夫。」きっと、それは愛じゃない もりのいぶきさんの映画レビュー(感想・評価)
幼なじみの男女。相手の結婚活動を通して自分自身の感情に気付き、新たな関係を築き始めるお話です。民族・宗教・地縁血縁、越えるハードルは多くとも、相手を思う気持ちがあれば大丈夫。
リリー・ジェイムズが主演の作品ということで
チェックしていた作品。久しぶりかもと思ったら
4年ぶり。「イエスタディ」以来の鑑賞です。
幼なじみ同士の恋愛作品…かと思っていたのですが
そんな単純な内容ではありませんでした。・_・ハイ
主人公はこの二人。
ゾーイ(リリー・ジェイムズ)ドキュメンタリー監督
カズ(シャザト・ラティフ)は医師。
家が隣同士で、家族ぐるみの付き合いのようです。
プレゼンした番組の企画が通らず苦戦中のゾーイ。
そんな折、カズから「今度見合いをする」と告げられる。
” これだわ ” と、彼の見合い過程を追跡する番組を企画。
本人承諾の無いままプレゼンし通ってしまう。…いいのか?
必死にカズを説得し(というか無し崩しに撮影開始した感が…)
見合いの過程をカメラに収め始めるゾーイ。
一方のゾーイにも、母のおせっかいの手が。
愛犬がてぶくろを誤飲してしまい、獣医に連れていかなければ
ならなくなる。ゾーイに獣医に連れて行くよう頼む母。
誤飲はその通りだったのだが、深刻な状況では無かった。
その獣医の若い男性、ゾーイに色々と話しかけてくる。
” さてはママ、仕組んだわね ”
どうやら、愛犬をダシに二人の出会いを画策したようだ。
戸惑いながらも、付き合わない理由も見つからないゾーイ。
カズの見合いも進展する。
オンラインで顔を合わせた相手の娘はパキスタンにいた。
カズの家もパキスタンからの移民だ。
民族・宗教の異なる相手との結婚となると、様々な障害が
出てくるが、同じパキスタン人なら問題無い …らしい。
※カズの祖母は昔ながらの人間で、因習等に相当の拘りが
あるらしい。実はカズの妹が英国人と結婚しているのだ
が、それがために家族の中で妹の存在はなかったことに
なっていることが話の途中で分かる。 …ええぇ@-@
見合い相手は22才。(カズとゾーイは32才)
法律家を目指しているそうで知的な雰囲気を漂わせているが、
ネコ被りの雰囲気も漂う。ニャー
カズは相手を” 気に入った ” として見合いは進むのだが。
ゾーイの思惑よりも縁談の進み方は早かった。
この後、パキスタンでの挙式のため、カズ一家とゾーイに
ゾーイの母もパキスタンに行くことになるのだが、結婚式の
前に破談になるのかなと予想していたら大ハズレ。・_・アラ
式を挙げロンドンに戻り、カズは新婚生活を…のはずが
事態は急転直下の展開を見せ始める。
果たしてカズの見合い結婚の行く末はどうなるのか?
そして、 ”二番の男ではイヤだ” と、
見合い相手の獣医に別れを切り出されたゾーイは
自分の本当に大切な相手が誰かに気付くのか?
…というお話です。
・イギリスの結婚事情とパキスタンの結婚事情
・生まれながらの英国人と余所から来た英国人
・民族の違い・宗教の違い
・そこから発生する差別と区別
・同じ地域に暮らすことによる地縁。
・遠い親戚より近くの他人。恋愛と見合い。
このようなテーマ(割と重いかも)を含んだ作品でした。
現代のイギリス事情が垣間見れた気がして、その点でも
興味深い内容だったと感じます。
予想した内容とは違ったけれど
観て良かった。
◇あれこれ
■カズの隠し事
・タバコを吸っている事
⇒ 患者さんの前では吸ってないでしょ? と
家族は対して気にしていない様子…
・酒を嗜む事
⇒ 赤ワインはコレステロール現象に良い と
全く気にしていない様子…
本人が秘密にしているコトって、意外と周りは知っていたり
気にしていなかったりするもののようです。
バレていないと思っているのは本人だけだったり。・_・♪
■カズの結婚相手
大麻だかマリファナだかを吸っていたりしましたが -_-;
バキスタンでは合法なのでしょうか。(違う気が…)
それにしても
絵に描いたような猫かぶりでした。カズの祖母に対しても
カズの姿が見えなくなると侮蔑するような発言を…。
インドの場合はカースト制度がありますが、パキスタンは
どうなのでしょう と考えてみて、パキスタンの事って
ほとんど知らないなぁ と実感しました。
(インドと仲が悪い国、という事だけは知ってますが… ・_・;)
■カズの妹の事
妹が英国人(アングロサクソン系?)と結婚した為、異教徒との
結婚を認める訳にはいかない と、家族の中で存在が抹消される。
そんな状況を知った上で、ゾーイは妹さんにもインタビューをし
ていた。
事前にそれを知らされないまま試写フィルムを観たカズの家族は
怒るが、結果的にこの事を通じてカズがこのままではダメと決意
し、最後には祖母と妹が再会する場面は良かった。
◇最後に
お話の内容とタイトルが一致しているのか考えました。
” きっと、それは愛じゃない… ” で始まり
” きっと、それは愛じゃない? ” で終わる
そんな否定と肯定の二重の意味を持っているのかな?
と、そんな事が頭に浮かんだりしました。
※ ただ、この結末だと「見合い結婚は上手く行かない」
そんな終わり方になってはいないかなぁ?
と、少しだけ気になってます。
☆映画の感想は人さまざまかとは思いますが、このように感じた映画ファンもいるということで。
イスラムだから、というか、ザ・宗教で離婚はほぼ無理と思っていたので感動的してました。でもなくなったとは・・・。イスラム教は本来とても自由なのではないかなあ、と思ってました。政治的なことなのでその自由が狭くなるのは第三者の自分から見ても嫌です