「世界を我がものとして指揮する男」ウェルカム トゥ ダリ momoさんの映画レビュー(感想・評価)
世界を我がものとして指揮する男
音入りが良い!ここぞという時にものすごくいい曲がタイミング良く入る気持ちよさ。
ダリの視点ではなく、聖セバスティアヌスと呼ばれる青年の視点を通して描かれるから良いのだ。
全編を通してダリの絵が出てこないことが素晴らしい。
この映画にダリの絵を出したら蛇足にしかならない。見たくない。
各自頭の中で描けということだ。
そして歴代のダリのサインだけが公開される。
そこが的を得ている。
いいねえ、わかってるなあ。
ダリとガラの関係もいい感じに切り取られ、切り傷に破傷風を恐れるダリ、ガラが来て落ち着きを取り戻すダリ、死後、遺言通りに服を着せられて恋人と暮らした城に運ばれるガラも女の強を感じて良かった。
指揮するダリの回想が素晴らしかった。空を切り、全世界を指揮するようだ。
実話ベースの映画はどのような視点でどう切り取るか。
ダリの奇人な所を押すより、青年から見た崇拝するべき存在のダリを描いたところがこの映画の良さだ。
エンドロールの文字の色は悪妻でもあり糟糠の妻でもあるガラが走り回って探した色だ。
そういうところが粋だな。
ほんとに観て良かった。
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