「そこはユートピアか」攻殻機動隊 SAC_2045 最後の人間 サプライズさんの映画レビュー(感想・評価)
そこはユートピアか
さて、早速続編を鑑賞してきました。
Netflixで1話1話追いかけてもいいんだけど、1つの映画にまとめられている方が見やすいし、やっぱり映画館で見たいじゃん。特別料金一律1,900円と少しお高めですが、入場者特典も貰ったことだし、なんの文句もありません。最高のラストを見せてくれた前作「持続可能戦争」。流石にあの作品と比べれば衝撃は少なかったけど、映画館で見る攻殻機動隊はたまらなくワクワクしました。
前作同様、攻殻初心者としては台詞を追いかけるのに必死。往年のファンなら知っているはずの専門用語や独特な言い回しに脳内パンク寸前。そのため理解できなかった所が複数箇所あるけど、ストーリー展開は把握出来るため、鑑賞にそれほど影響は無い。でも、これが全部分かるようになれば更に面白くなるんだろうなと思ったり...。また、キャラは立っているためそこそこの人数登場するけど、名前と顔の一致は容易。隊員が自身の特性をしっかり理解して活躍しているところが、本作が最高たる所以なんだよね〜。
今回、草薙少佐がめちゃくちゃにカッコイイ。
まず、シンプルにビジュアルが良すぎる。この映画きっかけにネットで色んな少佐を調べて見たけど、個人的にはこのSAC_2045の少佐がダントツで好き。ファンからしたら違和感があるかもしれないけど、このシリーズで初めて見た彼女のインパクトが強すぎて、他が目に入らない。もっと細かく言えば本作のポスターが1番かな。フィギュア、買います。中身の話をするとキリが無いんだけど、少佐を一言で表すなら「一緒ついて行きたくなるリーダーの究極系」だと思う。相手に詰められた時の冷静な返答、危機的な状況での瞬時の分析力、チームメイトに適切な行動を指示する統率力。こんな人間になりたいと、心の底から憧れる。田中敦子の声が落ち着いていて、物事をハッキリ言うのにこれっぽっちもイラつかないんだよな...。
ロボットの造形もたまらないし、タチコマが大活躍していたのも最高だった。仲間を思う心があるのなら、ロボットも悪くないじゃねぇか。これまでにない、AIの脅威に対する斬新な切り口が、新生・攻殻機動隊の見どころ。ポストヒューマンという、なかなかぶっ飛んだ設定を通して描かれる、人間のエゴや深層心理なんかがとんでもなく面白い。前作より感覚的・視覚的に楽しめる場面は減ったけど、ストーリーは骨太でキャラクターは魅力的だし、よりこの作品のことが好きになった。
映画館で上映するという試みがなければ一生触れることがなかったと思うから、製作陣には頭が上がらない。藤井道人の編集技術も素晴らしかった。最高のSFアニメーション。年末年始は攻殻機動隊パーティに決まりだな。