「”父の葛藤”」映画 窓ぎわのトットちゃん szmushiさんの映画レビュー(感想・評価)
”父の葛藤”
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「トットちゃんの父が軍の音楽家になるか否かを葛藤するシーン」が特に印象に残っている。
満足に食べるものが得られない家族のため、自分の音楽が戦争に利用されるのを良しとするのか。自分の音楽が利用されるのを許さず、自分の音楽に対する”思い”(誇り・プライド)を優先するのか。
家族の為、自分の音楽に対する”思い”を捨てて軍に協力するというのが、合理的な選択であるように思う。鑑賞中には、自分の”思い”を優先し、家族に我慢を強いるという選択をした父に、「それでよいのか?」という感想を抱いた。
しかし今、振り返って考えると、どちらがよかったのかがわからなくなった。
家族の為を思って、自分の音楽に対する”思い”(誇り・プライド)を犠牲にするというのは、”父として”よいことのように思われる。
ただ、その重要な”思い”を捨ててしまえば、父自身の精神はどうなるのだろうか。
自分にとって本当に大事な、根幹の部分を曲げてしまったら、父の人間としての何かが狂ってしまうのではないだろうか。
他者のために自分を犠牲にするのは確かに美しいように思う。
家族のために父が自分の”思い”を押し留めるという方が、どこか正しいような気がしてしまう。
しかし、本当にそれは”よい”ことなのだろうか。自分にはわからなくなった。
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