「個人的な推しはマクロファージさん、みんな楽しそうに演じてて微笑ましかった」はたらく細胞 Dr.Hawkさんの映画レビュー(感想・評価)
個人的な推しはマクロファージさん、みんな楽しそうに演じてて微笑ましかった
2024.12.13 イオンシネマ久御山
2024年の日本映画(110分、G)
原作は清水茜の同名漫画および続編
不摂生な父とそれを心配する娘の体内を描いたアクション映画
監督は武内秀樹
脚本は徳永友一
物語は、母・祐子(遊井亮子)を病気で亡くして以来、二人で過ごしてきた父・茂(阿部サダヲ)と娘・日胡(芦田愛菜、幼少期:野田あかり)の日常が描かれて始まる
トラック運転手をしている父は不摂生が祟り、健康診断の結果は最悪なものになっていた
食事を管理している日胡は自分に責任があるのではと思うものの、父は娘の知らないところで暴飲暴食を繰り返していた
そんな父の体内では、劣悪な環境で苦しむ細胞たちがいて、中でも赤血球(板垣李光人&加藤諒)は、度重なる不幸に見舞われていた
一方の日胡の体内は順調そのもので、不器用な赤血球AE3803(永野芽郁、赤芽球期:鈴木凛子)は一人前になろうと必死に酸素を運んでいた
体内では病原菌がたくさん悪さをしていたが、白血球の中の好中球1146(佐藤健、骨髄球期:草刈桜空)や、マクロファージ(松本若菜)の情報を受けて命令を下すヘルパーT細胞(染谷将太)、その命令を実行するキラーT細胞(山本耕史)たちが鉄壁の布陣を敷いていた
また、命令系統を持たないNK細胞(仲里依紗)もいて、日胡の体内は万全に守られていた
日胡には想い人の先輩・武田(加藤清史郎)がいて、彼のことを考える時だけ体内は制御不能になってしまう
神経細胞(DJ KOO)のリズムで踊り狂う細胞たちは、その波が収まるまでは、正常な機能を失っていたのである
映画は、細胞入門編のようなテイストで説明が始まり、マクロファージ先生による解説を赤血球AE3803が聞くという流れになっていた
わからないことがあればタブレットを使用して学習するという流れになっていて、劇中内で描かれることはスムーズに入ってくる
語句の難しさはあっても、その細胞がどんな役割を持っていることは把握できるので、このような擬人化はうまくできているなあと思った
体内で何が起きているかを劇的に描くには癌を取り扱うのがわかりやすいのだが、通常の癌だとちょっとわかりにくい部分がある
なので、今回描かれることになった「白血病」というのは一番わかりやすく、かつその治療の過程などで細胞がどうなっていくのかがわかるのも面白い
白血球が異常となって排除させ、それに抵抗したものが攻撃性を持つという流れはとてもわかりやすく、またヒューマンドラマ的に仕上げることも容易であると思う
とにかくかなりキャラクターが多く、エキストラもえらいことになっているので、誰が誰かを把握するのはほぼ不可能に近い
パンフレットはそこそこ充実しているが、せめて基幹細胞に関する解説はすべてのキャラで行っておいた方が良かったように思えた
いずれにせよ、ジャンルだとアクション映画に入るのだと思うが、白血球のバトルはとても見応えがあるし、NK細胞やキラーT細胞の活躍もとても面白い
赤血球が役割を終えて再生し、再び白血球と出会うことになるんだが、これも何となくありそうに思えるので良かったと思う
細かいツッコミを入れるとキリがないのだが、概ねわかりやすく、ざっくりと把握するには良いと思うので、親子連れで観に行っても良いのではないだろうか
鑑賞後に何を食べようかと考える時に、ちょっとだけヘルシーなものを選んでしまうと思うが、それはそれでOKなのだと思った