劇場公開日 2023年7月15日

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「二人は6年かけて、場所もテーマの様々な沖縄戦の図、全14部を描いていった。」丸木位里 丸木俊 沖縄戦の図 全14部 栗太郎さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5二人は6年かけて、場所もテーマの様々な沖縄戦の図、全14部を描いていった。

2023年9月2日
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鑑賞方法:映画館

先日、佐喜眞美術館で壁一面の大きな沖縄戦の図を見た。見た、という表現よりも、目の当たりにした、と言った方が適切かもしれない。結局沖縄は、沖縄人は、明治からこのかた日本人だと言われながらも、日本人扱いされてこなかった。朝鮮人と同じようによその国の人間としか見られていなかった。だから、米軍上陸という切迫した状況の中で、これほど残忍な扱いを受けたのだ。その事実に懐疑的な人は、この絵をこの美術館で見るといい。自分が沖縄の地でこの絵を見ているときの感情を素直に受け止めるといい。この美術館が、普天間基地に突き刺すような立地であることの意味をかみしめるといい。そして自分の心が落ち着いたとき、この時沖縄で起こったリアルを実感したあと、この絵が架けてある壁の反対側の壁にずらりと並んだ老人たちの顔写真をみるといい。彼ら彼女らの訴えかける真剣なまなざしを。当事者たちの叫び声が、どこかから聞こえてくるだろう。

栗太郎