「アンドレア・ライズボローの演技は圧巻だが、ストーリーに説得力が感じられない」To Leslie トゥ・レスリー tomatoさんの映画レビュー(感想・評価)
アンドレア・ライズボローの演技は圧巻だが、ストーリーに説得力が感じられない
アンドレア・ライズボローのアカデミー主演女優賞へのノミネートは、一時、物議を醸していたが、その自然で繊細かつ迫真の演技はまさに圧巻で、十分に賞に値すると思った。
特に目を引くのは、本当に酔っ払っているかのような酒を飲んでいるシーンだが、酒の誘惑と必死に戦っている時の葛藤に苦しむ表情も、深く心に響く。
ただ、もう少し「ボロボロになる感じ」があってもよかったのではないかとも思う。
また、ストーリー的にも、主人公が、宝くじに当たってから身を持ち崩していくまでの過程が全く描かれないため、そうした設定が必要だったのだろうかという疑問が残る。
「幸運が不幸をもたらす」ということを言いたいのであれば、そこのところをきちんと描くべきだし、それがないから「第2の幸運」も活きてこない。
その「第2の幸運」にしても、あんなに善良な男性が手を差し伸べてくれるという展開は、あまりにも出来過ぎで、ご都合主義に思えてしまう。
主人公が助けてもらうことに説得力が感じられないし、主人公が、なぜ立ち直ることができたのか、そのきっかけもよく分からない。
昔住んでいた家を訪ねたり、取り戻したスーツケースの中にあった幼い息子の写真を見ただけで、あれほどやめることができなかった酒を、きっぱりとやめることができるものだろうか?
せめて、あの「ジェームズ」と書いてあるクシャクシャなメモの由来について、伏線の回収でもあったならば、主人公の断酒について、少しは納得することができたのかもしれないが・・・
もし、そうした「仕掛け」があれば、ラストも、より感動的になったのではないかと思えるのである。
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