「じんわりと良さが伝わり余韻がある」To Leslie トゥ・レスリー 町谷東光さんの映画レビュー(感想・評価)
じんわりと良さが伝わり余韻がある
人生はつらいよ。
人生は苦いよ。
甘くて、楽しくて、愉快なこともあるにはある。
でも、ほとんど生きていくことはつらい、重い、くらいよ。
たまにいいことがあるから、生きてきた、生きてこれたよ。
つまずくことも、失敗もあるよ。
陰口叩く人もいるよ。無視する人もいるよ。
ちやほやされる、されたことは一瞬。
一回つまずきゃ、誰もその顔をまともに見てくれないよ。
そんな人生を歩んできた人が大勢いるんだよな。
夢も破れ、よりどころもなく、人を信じられない、自分を信じられない。
自分を信じてくれる人、愛してくれる人…そんな人がいても、それに気づかないでいたり。
罪を犯したり、巻き込まれたりもせず、ギリギリのところで生き続け、ああ自分の人生なんだった…。
やり直せるものなら、やり直したい。
時間はでも、取り戻せないんだよ。
なんとか、自分なりに立ちあがろう、やり直そうって思う。
その姿を描いている。
主人公は、やりきれない人生を自暴自棄になるギリギリの姿をスクリーン上でさらす。
主演のアンドレア・ライズボロー、初めて存在を知った女優だけれど、オスカーの主演女優賞にノミネートされたというのも納得。
全体に地味で、アメリカの田舎が舞台。
衝撃的な話があるわけでもないけれど、見る者に、人生ってそう悪いもんでもないって思わせてくれる、良い映画だ。
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