「ガロン瓶の底でもがき苦しむボロボロのアンドレア・ライズボローを観てきました/肩紐結びのかわいいピンクのタンクトップがそっと主張する場面で泣きました」To Leslie トゥ・レスリー カールⅢ世さんの映画レビュー(感想・評価)
ガロン瓶の底でもがき苦しむボロボロのアンドレア・ライズボローを観てきました/肩紐結びのかわいいピンクのタンクトップがそっと主張する場面で泣きました
映画ニューヨーク親切なロシア料理店での才色兼備の救急看護師兼ソーシャルワーカーとして働きずくめの役でめっちゃ素敵だったアンドレア・ライズボローに会いに、公開初日に行ってきました。夜勤明けに行きつけのビル・ナイの経営する老舗ロシア料理店に寄ってウォッカをひっかけていたアンドレアでしたが、この作品では極貧にもかかわらず、7ドルのつまみなしのせんべろセット(テキーラに生ビールのチェイサー付き)を頼んで、酒をおごってもらうために男の客にわざと絡んだり、すり寄って行くどうしようもないオバサン役。
同情するなら酒をくれ状態。
とても見ていられません。
わたしも昔は赤羽のOK横丁で飲んだくれていました。あれは二月の寒い夜。閉店30分前に飛びこんで、焼酎とビールの大瓶を注文。弱冠二十歳のアルバイト店員に「お客さん、ビールをチェイサーがわりは身体に毒ですよ」なんてたしなめられて、「若僧のくせしてうるせーんだよ」と言い返す状態でしたから、そのヤバさはよくわかります。
都会で地道に暮らす一人息子のアパートに転がりこんで、ルームメイトの荷物をあら探し。ポケットの札を盗んでコンビニに直行。昼間かららっぱ飲み。
懺悔の値打ちもないとはこのことですな。
バーでかかる音楽はテキサスらしく、Waylon Jennings . 最後のカウボーイと呼ばれたアウトロー・カントリーの雄。いま、Waylon Jennings のアルバム Honky Tonk Heros をかけてこのレビューを書いています。この映画は酒、ドラッグ、女、ギャンブルで失敗し続け、それでも立ち上がろうとするアウトロー・カントリー(レッドネック・ロック)ものの映画といってもいいと思います。Waylon Jennings のほかにも、Willie Nelson, Jonney Cash(Highwaymen), Dolly Parton などの大御所の曲がたくさん。レスリーは息子のジェームスにギターを買ってあげたことは記憶に残っていて、ジェームスはロックスターになるために都会にいったと、自分の罪悪感から少しでも逃れようと記憶をすり替えてしまっています。Waylon Jennings は実際に8歳の時に母親に買ってもらったギターが彼の原点になっています。
カントリーに必要なものは三つのコードと真実。ジェシー・バックリーの初主演映画、2018年のワイルドローズでは腕に three chords and the truth の tattoo を入れていました。まあ、3つの大きな失敗とありのままの人生と言い換えてもいいんじゃないでしょうか。
音楽監督はたくさんの楽曲提供でカントリー界の裏の女帝と言われるソングライターのリンダ・ペリー。オリジナルサウンドトラックも欲しくなります。
ジェームスがお婆ちゃんに電話しながら、レスリーのために選んだ肩紐結びのかわいいピンクのタンクトップ。くしゃくしゃの紙に書かれた息子へのどうしようもない愛と合わせて、レスリーがモーテルの部屋で再起を誓う場面に添えられた愛情のアイテム。
アレサ・フランクリンの映画リスペクトでドラッグをたしなめるレコード会社の社長役だったマーク・マロンはアル中を克服した妻を教会の牧師に寝取られてしまった優しい神父様のようなオジサン役。おいらくの恋も確かにありました。
幼なじみのナンシー役がラスト、草笛光子に見えてしまいました(笑)
共感とフォロー、ありがとうございます。
よろしくお願いします。
カールIII世さんのレビューは、「心の声」ままのようで、いつもとても面白いです。
パスト・ライブスは、高評価の方多いですが、私には???でした。。。
こんにちは
アルコール依存症のリアルがありましたね。私も気をつけようと思いました。
ジェームズがアルコール依存症の母への正しい対応も身につけたちゃんとした人に育っていてよかった。ナンシー夫妻のお陰ですね