劇場公開日 2023年11月10日

「杉咲花の芝居に見入る」法廷遊戯 杉本穂高さんの映画レビュー(感想・評価)

3.5杉咲花の芝居に見入る

2025年6月30日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

物語前半の「無辜ゲーム」のシーンは、原作では大学の教室で行われているのだが、映画では怪しげな洞窟で儀式めいたシーンとして描写されている。まあ、これはリアルな描写ではないわけだが、映画的な外連味を重視しているということのようだ。本作は法廷サスペンスものなので、後半になると室内のシーンがどうしても多くなる。前半と後半でドンデン返しのためにも雰囲気は変えていきたいという、ビジュアル表現ならではの悩みがここにはあるんだろう。
法律という絶対的な社会における行動・判断基準は絶対の正義か否かを突きつける内容であるが、絶えず改正できるものでもある。実は法律とは不確かなものでもある。それでも法律に携わる者の信念として法の枠内で復讐を果たそうとするのが本作の面白いところ。
知的な復讐ドラマとして見応えのあるストーリーで、杉咲花の存在感が作品の要石となっていて、緊張感が続く。彼女の芝居は年々良くなるなと思って見ている。

杉本穂高
PR U-NEXTで本編を観る