劇場公開日 2023年11月10日

「罪深き法科学生」法廷遊戯 kossyさんの映画レビュー(感想・評価)

3.5罪深き法科学生

2024年4月22日
PCから投稿
鑑賞方法:VOD

知的

 「無罪とは単に検察の立件失敗によるもの」とゼミで言い放つ結城馨(北村匠海)が印象的過ぎる。冤罪と無罪については、彼が在学中に司法試験合格したにも関わらず法曹界に入らず研究室に留まりいくつもの論文を書いた経緯で分かるように、警察官だった父親の無念を晴らすためだけに生きていたこと。そして弁護士になった久我清義(永瀬廉)と織本美玲(杉咲花)の絶妙で危うい犯罪が暴かれていくという異色の法廷サスペンス。

 施設に入っていた久我と織本、父親が自殺してしまうまで痴漢冤罪に脅かされていた過去。その痴漢行為でっち上げ恐喝していた織本と久我。さらには施設長殺人未遂事件で久我を庇っていた織本。ラスト近くでは結城の残していた日記により結城の父佐久間(筒井道隆)を駅の階段から転落させ重傷を負わせた者までが・・・

 冤罪というテーマ以前に彼ら3人の罪深さが天秤に計られている気がした。そんな過去の罪があるのによくもまぁ弁護士になろうと志したものだ。というのが正直な感想です。一方で結城の命を賭した「無辜ゲーム」も真意が亡き父の冤罪を証明するためのものだったことが強烈でした。そのためだけに法律家を目指すというのも一途すぎて印象的。

 全体的には罪深き法科学生によるゲームといったイメージで、大森南朋演ずる占い師の役回りが霞んでしまいました。盗聴の依頼主が誰なのかといったミステリアスな部分に意味があったのかどうか・・・それよりも児童福祉施設や親によるDVといった問題に重きを置いたらどうなのか。ただ、ラストでの回想シーンにて、政治家が法律を鬱陶しく思ってる等々といった結城の言葉はなかなか良かった。

 深夜にテレビで観てたのですが、杉咲花の悲鳴が大きすぎたためボリュームを絞ってしまいました(汗

kossy
R41さんのコメント
2024年4月24日

この作品は何よりも新しさがありました。
kossyさんが異色と表現したように、「設定」の中に一般的には想定外のことが仕組まれています。
良かったのは、カオルがミレイに対し計算違いをしましたが、久我に対しても計算違いをしていたという点です。その結果、ミレイが計算した未来が消えたのです。
カオルは死んだものの思ったものに近づき、久我は人生で学んだことを生かすために再出発します。
ミレイは賢く計算高い女ですが、一番知っていると思っていた久我の心を理解していませんでした。
この登場人物たちの割り切れない感情が残ることで、作品に対する余韻が生まれるのかもしれません。

R41
トミーさんのコメント
2024年4月22日

共感ありがとうございます。
途中まで結構好みだったんですが、終盤大分強引に進んでいったなぁという印象でした。のんびり食パンやマフィンを食べるような役は少ないですね、杉咲花。

トミー