「My Rule」セフレの品格(プライド) 初恋 ブレミンさんの映画レビュー(感想・評価)
My Rule
タイトルがタイトルなので、なんとなく避けてたんですが、Twitterやコラムなどでの高評価が聞こえてきたので鑑賞。
これは一本取られました。セフレの定義を問う上質な恋愛劇に仕上がっており、エロス全開ながらも、どこか可愛らしいところのあるテンポの良い作品に仕上がっていました。
同窓会でたまたま会った抄子と一樹が一夜の関係性、セフレとして過ごしていく中で、親としての立場、友人としての立場、そして女としての立場と、大きく分けて3つの視点で進めていく物語はとても面白かったです。
最初はセフレに抵抗のあった抄子ですが、徐々にその快感を楽しめるようになり、セフレ以上にはなりたいと思いつつも、この関係性を楽しんでるようでした。行平あい佳さんの表情の変化がとっても良かったです。
一樹も沢山の女性と関係性を持っていますが、女性側も決して嫌そうにはしていませんし、互いが互いの立場を気にせず性の快楽に溺れているのは現代ならではだなと思いました。
一度体の関係を持ってしまったがために、上司の栗山が抄子に依存していってるのはリアルだなと思いました。どうしてもその人が自分に気があると思ってしまいますし、栗山の場合は結婚というものに取り憑かれているようにベタベタするのは人間味がありました。こんなに生々しいキャラを噛ませに使う脚本の切れ味の良さには感服です。
一樹の過去もこれまた生々しく、愛していたはずの妻が、実は自身の父と体の関係を持っており、一樹と結婚した後や、息子が生まれた後でもそれは続いていたという末恐ろしいものがありました。
ただ身体の関係を求めていたというよりも、狂気的なものが見え隠れしていて、父も行為をせざるを得なかったというのもなんだか愛のないSEXの最終形を見ているかのようでした。
性行為のシーン、とってもエロいのですが、超上質なAVを観ているかのようでした。なんだか如何わしい気持ちになってしまいましたが、美しい性行為を見ているようで、感情がめちゃめちゃになりました。
性行為の描写はありませんでしたが、おでん屋で出会った老夫婦かと思ったらまさかのセフレだった2人の存在はとっても良かったと思います。長い間セフレをしつつも、おでん屋でキャッキャッするのを楽しんでいるので、こういう関係性もありなんじゃと思わせてくれました。歳を重ねるごとにこういう感情は増えていくのかなと考えさせられました。
ここ最近の城定監督に足りなかった刺激を、これでもかと体験することができました。後編はこらまた登場人物も増えて、より一層ドロドロなものが楽しめそうです。単独作でも十分楽しめるので、「初恋」のみでもオススメです。
鑑賞日 8/2
鑑賞時間 11:50〜13:35
座席 B-9