「ノスタルジーと換骨奪胎」AIR エア うぐいすさんの映画レビュー(感想・評価)
ノスタルジーと換骨奪胎
自分はマイケル・ジョーダンリアタイ世代ではないが、民放TV各局の洋画劇場枠で80年代~90年代初頭の作品を観た感覚が蘇って来た。
劇中でも当時の映像やヒット曲をそのまま使ったり、ファッション、小道具、印刷物の色調に至るまで徹底して再現することで、当時を知る観客の記憶を刺激し、当時を知らない観客に当時を疑似体験させることを重要視しているのが伝わって来る。
本編も挫折、努力、協力、奇策、打開…等の要素からなる起承転結を、当時の王道ヒット映画を彷彿とさせる構成で組み立てており、製作陣が本作の舞台となった文化や時代へ、愛情とリスペクトを捧げていることがわかる。
その一連の熱量だけでお腹いっぱいになる。今後「あの頃の秘話を描く」タイプの作品のマイルストーンになりそうな一本だった。
ただ、主人公を格好良く描かない点や、ジョーダンの両親を感動要素ではなくビジネスパーソンの側から描いたのは現代的な視点であり、本作が決してノスタルジーだけの作品ではないと感じた。
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