「個々気になる点もあるが、初監督やそれに準じる方の作品としては好印象。」たぶん杉沢村 yukispicaさんの映画レビュー(感想・評価)
個々気になる点もあるが、初監督やそれに準じる方の作品としては好印象。
今年160本目(合計811本目/今月(2023年5月度)17本目)。
大阪市では1日しか上映日がなく、かつその1日にいわゆるトークショーつきという事情もあってミニシアターにも関わらず8割程度の埋まり具合といった状況です。
ある怪しい村に行ったらとんでもないものに襲われ、かと思えばその村には「別の由来」があって、さらにその村には秘密があって…という、60分ほどの作品の中にテーマが4つくらい入っています(いわゆる章立て形式ではないですが、ストーリーを進めると「その村」の秘密が徐々にわかるような形式になっているので、「事実上の」章立て形式とはいえる)。
既存の映画でいうと(どっちもマイナーですが…)、「黄龍の村」「コンビニエンス・ストーリー」「シャーマンの娘」等を足して3で割ったような感じです。前半こそホラーな印象を受けますが、後半はホラーとギャグやいわゆるオカルトものが混ざった展開で進みます。
まぁいかんせん放送している映画館が少ないのが難ですが、監督さんも新しい作品をまた作られているとのことなので、こちらも楽しみです。
採点に関しては、個々個々どうしても法律系資格持ちなので、最低限気になった点(下手に真似するとおまわりさんが来る案件)は挙げておきます。
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(加算3.0/初監督やそれに準じる(おおよそ5作品くらいまで)の方の作品について)
これだけコロナ事情がおちついた現在では、どうしても大手であってもミニシアターであっても同じ土俵の中で戦わなければならないところ、今、例えば、コナンやらなにやらと有名作品がいろいろ押している中で、いわゆるエログロに走らずに作品をまとめたという点は高く評価できます。
(減点0.3/廃村への立ち入りについて)
廃村とはいえども、誰かしらの所有者はいますので(2023年4月からは、所有者不明の土地の管理について、民法が定まっています。映画がつくられた当時でも、「所有者がいない土地」はありえません)、そこに勝手に入る行為は、その村が廃村であっても実際にはどこかの地方自治体が管理していることになり、一般には立ち入り禁止だの何だのという扱いになりますので、そこに勝手に入る行為はややまずいです(ただ、これはおまわりさんが来て「こらこら良い大人がリアル幽霊屋敷やっちゃダメだよ」程度の注意事項でしかない)。
(減点0.3/民法241条について) ※ ネタバレになるので、民法の条文のみで記載
映画の中で出てくる、「とある価値のあると思われるもの」は、実は民法241条の適用を受けます。したがって192条の適用はなく(有効な取引関係があれば、そのものとの間では192条の適用はありうる)、しかし一方で「この価値のあると思わせるもの」は、民法とは別の特別法でその所有者が別に定まっていますので(ネタバレ回避)、241条の適用は実際にはありません(そのかわりに、遺失物法と同じように報奨金がもらえるというもの)。
※ 仮にそれが「価値があるものではない」としても、発見者と所有者との折半になります(241条ただしがき)。
※ ただし、発見者と土地の所有者が異なる場合には折半されますが、当時の民法(2023年4月1日よりも前の民法)では所有者不明の場合、どうするのかは謎です(廃村であってもどこかしらの地方行政が管理はしていますが、管理していることと土地の所有権は異なるため/2023年4月1日以降であれば、所有者不明を理由として一定の行動を起こすことができる)。
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